時々シッポ 〜犬の介護

 犬達の平均寿命は、かなり伸びましたね。高齢化により、犬達も歳とともに、身体が動かなくなります。認知症を発症することもあります。

 ある日、突然、病気や怪我で、介護が必要になることもあるでしょう。


 最近では、犬の介護用品や利用できるサービスが増えています。


 犬の介護について、少しでも心構えや準備ができて、不安が減る手助けになったらいいなぁと思い、書いています。


♡身体を清潔に♡

 排泄は大きな問題となります。トイレがお外のコは、毎回、外に出すことになりますよね。雨が降ろうと、槍が降ろうと(いや、槍がふったら危険ですから、外に出てはいけません!)、雪の日も、台風の日も……。大型犬を介助しながら、というのは大変です。

 おウチでトイレができると、かなり楽です。お外トイレのコを、おウチトイレにするのは、なかなか難しいのです。(飼い主とワンコの我慢比べです。だいたい飼い主の方が負ける……苦笑)


 足腰が弱っても、支えてあげればできる場合もあります。誤って、排泄した上に尻もちをついてしまったり、踏んでしまったり……汚れますね。


 立てなくなってしまったら、オムツの出番です。ワンコ専用はお高いので、サイズが合えば、ベビー用を利用できます。(シッポの出る穴を開けて、中身のポリマーが出てこないよう、切り口をテープでカバーして下さい)


 ワンコは毛が多いので(特に長毛種)、汚れを落とすのが大変です。毎回、洗うのは、お互いにしんどい。前もって、お尻の毛は短めにしておく、ふさふさシッポは包帯で巻いてカバーしておく、と良いかもしれません。

 ウェットティッシュはアルコール未使用品で、蒸しタオルやドライシャンプーなどが、活用できます。


♡食事♡

 食べたい! という意欲があるうちは、食べさせてあげたいですね。

 立つ姿勢をサポートする台や、伏せで頭を上げていられるようクッションを当てたり、姿勢を支える工夫をします。


 食欲にムラが出てくると、お湯でふやかしたフードやウェットフード、ゆでたささみ等々、獣医師と相談しながら、食べられるもの、食べやすいものを探すことになります。昨日は喜んで食べたのに、今日は無視……あるあるです。

 アイスクリーム、ヨーグルト、甘酒、カステラ……。温めたもの、冷たいもの、常温……そのコの好みは何でしょう。

 あまり思いつめずにいきましょう!


 犬が自力で食べられないときは、スプーンで口元に運んだり、シリンジ(針の付いてない太い注射器)で強制給餌となります。水分もスポイトで上げますが、誤嚥に注意して下さい。


♡運動♡

 歩けるうちは、ゆっくりと短い距離でもお散歩しましょう。

 歩くのが難しくなっても、カートやスリングなどを利用して、お外に出るのは大切です。外の音や匂いは良い刺激になります。昼間に寝てばかりいると、夜に寝ない、夜鳴きという、昼夜逆転に繋がることもあります。

 身体を支えるハーネスを使うとき、飼い主さんはくれぐれも腰を痛めないようにして下さいね。


 認知症でグルグルと室内をひたすら歩き回って、狭い場所にはまり込んで、動けない……子供用の丸いビニールプールが、怪我の予防にも役立つようです。



♡元気なうちに♡

 元気で若いうちから、やっておきたいことがあります。


 *服を着せる

 犬の服はもうあたりまえになりましたね。身体に何か着けても平気なことは、将来的にオムツが必要になったら、役立ちます。


 *カートやスリングで移動する

 お出かけの際、カートやスリング利用で入れる場所やお店に、是非、行ってみて下さい。楽しい体験にして下さいね。


 *スプーンで美味しいものをあげる

 お口周りに触れること。スプーンで食べられること。将来、役に立ちますよ。


 *声や手振り、以外の合図を決める

 耳が遠くなる、目が見えにくくなる、と今までの命令コマンドやハンドシグナルがわからなくなってきます。

 急に触ると、ビックリさせてしまうことも。匂いを嗅がせてから触る、床を叩いて振動で知らせるなど、工夫が必要です。

 はるお嬢様の場合は、背中を4回軽く叩くと「(今やってること、例えば足拭きなど)おしまい」という合図にしています。

 動いているものは見つけやすいので、指差す代わりに手をひらひらしたり、くるくる回しています。

 

 楽しい遊びの延長で(←ここ、重要です!)、いろいろと前もって慣れておくと、良いですよ。



★その他

 人の介護でも同じですが、くれぐれもひとりで抱え込まないで下さい。

 家族、動物病院、ドッグトレーナー、介護の知識があるシッターさん、老犬ホーム……利用できることは、たくさんあります。犬友さんの助けを借りたり、SNSで犬の介護に関するグループもあります。是非、専門家を含めて、多くの方の協力をもらって下さい。


 私が懇意にしているトレーナーさんは、介護用品(飼い主さんが寄贈したもの)の貸し出しをして下さっていて、本当に助かると思いました。


 犬専用の介護用品は高めなので、ドラッグストアなどで探してみると、ベビー用や成人用で使えるものがあったりします。

 介護が始まったからと、慌てていろいろ購入しない方が良いです。私はこれで失敗しました。(ほとんど使う機会がなかったのです)

 まずはおウチにあるもので工夫できないか、試してからでも遅くないと思います。


 人間では、介護保険や介護休暇がありますが、犬の介護にはありません。(ペット保険はありますが、玉石混合です)

 時間と手間と費用と、いつまで、どこまで、何ができるのか……。悩みは尽きることがありません。


 海外では、犬が寝たきりとなってしまったら安らかに見送る時だ、という考えもあるようです。

 個人的には、そこまで割り切ることができません。


 私は先代犬を短い間に見送ったので(よし、これから介護だ! と思った矢先のことでした)、長い時間を犬の介護に費やしている飼い主の皆様には、ただ頭が下がるばかりです。


 どうか、ご自身のお身体を大切に、自分が楽しむことを忘れないように、頑張り過ぎないように、ときどきゆっくり休めますように。


 大切な家族であるワンコ達に、きっと想いは伝わっていますから。


 

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