何度も何度もコンテニューしまくった恋愛ゲーどうしてもハッピーエンドに辿り着けなかったゲームの主人公に悪役転生した。-怒りにまかせてコントローラーをぶん投げたい気分です-

宮川祭

第1話 コンテニュー?タイトル?終了?


「くそっ、またか…」


 暗い部屋で独り言を呟く。ポテチの袋に手を入れ、中身を鷲掴みして口に放り込む。イライラを消すようにバリバリと音を立てながら噛みしめる。口が脂に満たされたところで、炭酸飲料を一気に飲み干し、口の中をリフレッシュする。


 ゲップ


 思わず漏れた音に、俺は誰もいない部屋に一瞬気まずさを感じる。それでもイライラは消えない。俺の目の前にはテレビ画面が映し出され、そこで流れるのはゲームのエンディングだ。何度見たかわからないこの映像に、俺は呟いた。



 END



「何度やってもダメだ。こんなゲーム、もう飽きた」


 怒りに任せてコントローラーを放り投げた瞬間、部屋の中が急に暗くなった。停電かと一瞬思ったが、そんな単純なものではなかった。目の前の景色がぼやけ、次第に意識が遠のいていくのを感じた。


 目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。周囲を見回すと、そこには異世界の学園が広がっていた。まるでゲームの中の世界そのものだ。「エイターナル・ハート・アカデミア」の舞台であるこの場所に、俺はいつの間にか転生してしまったようだ。


「ここは…ゲームの世界?」


 自分の体を確認する。どうやらゲームのキャラクター、悪役のレオンとして存在しているようだった。身につけているのは、エレガントなデザインの制服で、特権階級の証である徽章が輝いている。


「どうしてこんなことに…」


 頭を抱えて途方に暮れる俺の前に、一人の少女が現れた。彼女は長い金髪をなびかせ、優雅な佇まいでこちらに近づいてくる。彼女はこの学園のヒロインの一人、カレン・フォスターだった。


「レオン、どうしたの?そんなに怯えた顔をして」


 カレンの声に、俺はハッと我に返る。彼女は優しげな笑顔を浮かべているが、その目にはどこか哀しげな色が宿っている。


「カレン…いや、なんでもない。ちょっと考え事をしていただけだ」


「そう?ならいいけど。でも、もし何か困ったことがあったら言ってね。私、力になりたいから」


 カレンの優しさに、俺は少しだけ心が軽くなる。しかし、それと同時に、彼女をこの悲惨な運命から救いたいという強い思いが芽生えた。彼女はいつも最後には不幸になるキャラクターだ。それを知っている俺には、どうしても放っておけなかった。


 目の前に広がる学園は、中世ヨーロッパ風のレンガ造りの建物が立ち並ぶ風景だった。レンガで組み上げられた重厚な建物は、どれも古めかしいが、どこか温かみがある。塔のように高くそびえる校舎や、緑豊かな中庭が広がり、学園の敷地内を彩っていた。青々と茂る木々や色とりどりの花々が、レンガの赤色と美しいコントラストを描き出している。


「さて、どうするか…」


 俺はカレンと別れた後、一人で校舎の中を歩きながら、今後のことを考え始めた。このままゲームの通りに進んでしまえば、俺は悲惨な結末を迎えることになる。だが、ここにいる以上、何とかしてその運命を回避しなければならないと思ったところで、とりあえず今日は、寝よう。

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