90

スポーツ新聞を持っている人は、背が高くてスポーティな恰好をしていた。

なんとなく写真のイメージだとまじめで勉強一筋って感じだったのに違った。

写真では背の高さまでわからなかった。


近くに行きポーチをこれって感じで見せて会釈した。


私の方に向き直りにこっと笑った。

笑顔はまあ合格。


「古賀です。初めまして。」

「初めまして、○○です。」


これがお見合いなのか。


ここで待ち合わせをしてレストランに行って食事をしながら話す。というのが今日の予定だった。

道々会話をした。


「○○さんは普段なんて呼ばれてるんですか。」

「あ、あこって呼ばれてます。」

「あこさんですか。」

怪訝そうな顔をしている。

「そうなんです。名前にあこはないんですけど、小さいころのあだなです。」

「そうですか。僕は小さい頃コンガと呼ばれてましたね。最近は呼ばれてないんですけど。」

「こんが?」

「はい。小さいころは真っ黒けだったんです。古賀からコンガ。なんか日焼けの連想だと思います。」

こんがは呼びづらいなあ。でも今は呼ばれてないのか。

「じゃあ古賀さんでいいですか。」

「はい。」


まあちょっと緊張感はあるけどまあまあ普通な滑り出し。

林君のようにガチガチって感じじゃあない。


でもこの人も今まで彼女が居なかったのか、うまくいってなかったのか、それともたまたま出会わなかったのかは、わからない。


だからどうしたって警戒する。

またトラウマ発動してしまうかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る