THE DRAGONICK STORY

ただし

ラベル11 冒険者知識

前書き

 この本を手にとってくれて嬉しく思う。


 恐らくこの本を読んでいる者は駆け出しの冒険者か、或いはこの本自体が禁制になっているのなら高名な魔術師か、権力者、もしくは愛すべき龍族の皆様方なのだろう。


 だが、この本の前には皆、無知だ。

 なぜならこの本では、各国が秘蔵してきた歴史が幾つか語られているからである。


 よってこの本では、私が世界の迷宮、或いは様々な危険区域に討伐クエストとして参加する者が必ず知っておかねばならないと感じた、ごくごく少数の人物しか知り得なかった、”龍の歴史”が語られている。


 一つ前置きをしておく。


 この本で採用している不確かな学説は、


 ・世界二面説

 ・創造神実在説

 ・限定寿命説

 ・魔力還元保存説


 の4つである。


 これは私がこの世界を旅する上で、確かな痕跡を見つけたから採用したのであって決して私の詭弁では無いことは、この本が自ずと証明してくれるはずだ。


 これは私の私怨であり、仲間の無念を晴らす本だ。


 世界最強であり、その力を傘にして創造神の意向を裏切り勝手に自分たちの王国を築いた龍族を断罪する本であるが、この本を読んだ龍族が少しでも改心することを暗に願う本でもある。


 この本は私の秘術により、必ず他者には破壊し得ない構造となっている。むやみに愚かな行動をするのは慎むように。


 願わくば、冥界の全ての民が、正しい知識と技術を身に着け、魔人族の多大なる発展をあらんことを。



 ”賢将”アルヴァリー著「古龍手記」、前書きより抜粋。



 この物語はアードワルド公国書物庫室長、エルベルト・ローマンを始めとする5カ国共同龍族史編纂委員会により編纂された龍族に関する書物である。


 貸出を禁ずるが、種族を問わずこの本を禁制にすることは、これをアードワルド公国国王の名において永久に認めない。



 出典 ”賢将”アルヴァリー著 「古龍手記」、「魔法史」

    ゴルファイト・ムトファ著 「全世界神話大全」

    アーマン・ルードル・ホーリーファウンド著 「龍歴」「英雄史」


 編纂 龍族史編纂委員会会長エルベルト・ルーマン始め、オルド王国書物庫、ファイアード共和国元老院、コーカス公国書物院、アードルド神聖国図書室 室長


 保存名 「今昔龍族物語」


 途中編纂の場合は注釈が入る。確認すること。


 123英雄歴100年 10月 2日


 迷宮公国アードワルド国王兼冒険者ギルド長印により、この書物は発行された。

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