この家には一人変態がいる。

モイ

第1話 この家には一人変態がいる。

とある日の放課後、なんでもない日のはずだった。帰宅部の実力を魅せた最速の帰宅。部屋でベットのへりに腰かけて、漫画雑誌を読んでいただけのはずなのだが、どうして目の前に○裸の姉がいるのだろうか。


「お願い!!弟君、もう我慢できない.....♡♡♡お願い!!本当におねえちゃんからの一生のお願いだから♡♡弟君の初めてをください♡♡」


しかも、古来より伝わる最強のお願いスタイル:The 土下座に最強の不信お願い文句:一生のお願いを携えているのだ。


「お願い!!弟君、もう我慢できない.....♡♡♡お願い!!本当におねえちゃんからの一生のお願いだから♡♡弟君の初めてをください♡♡」


どうやら聞き間違いじゃないらしい。


「なんでもしますから♡♡弟君を一生養うって、幸せにするって誓うから♡♡」


あまりの突然の家庭内セクハラに驚きすぎて、思考停止し、黙りこくっている僕を黙殺し、正座のままずりずりと近づいてくる全○の姉。


「答えは沈黙なのね♡♡」


「この状況が現実なら、間違いなく神は沈黙してるね。」


僕の姉は魅力的な外見をしている。綺麗で、こんな人が初めてだったらとは思うのだが、実の姉ともなれば話は別。英語で言うところのitとoneは違う的なやつだ。


「あぁ、、♡♡弟君の前で土下座するのしあわせぇぇ♡はぁ♡裸も見られるなんてほんとに興奮するぅ♡あぁ♡♡これ以上幸せを求めてる欲張りな私を虐めてくださいぃぃぃ♡♡♡」


「頼むから、ねーちゃんは服着てくれ…。」


「あの、、、♡♡め、めいれい、、♡めいれいしてくださいっ♡♡」


い、嫌すぎる…。普通に気持ち悪い…。まるでダク○スを初めて見た時のような、行き過ぎたドMに対する精神的な拒否反応が人間には備わっているらしい。ドン引きではあるんだが、早く服を着て冷静に話してほしい.....、でも命令して興奮されたらキモすぎるというハ○ター試験もびっくりの2択の葛藤に苛まれる。仕方がないと心に決めて、


「ねーちゃん、服着ろよ。」


「んほぉぉぉ♡♡シルデチャイソウ♡♡」


気色悪い咆哮と聞きたくなかった微かな声が聞こえてきて、姉はそそくさと服を着始めた。後で絶対掃除しよ…。どうやら、ドアの横に制服を脱ぎ捨てていたようで、制服姿の姉が戻ってきた。まじで普通にしてくれれば綺麗な姉なのだが…。本当に驚いた時は人は頭が真っ白になり、何も話せなくなるようだ。そこからは何だか姉のペースに飲み込まれて今に至る。


「あのね、弟君.....♡♡」


再び正座して僕の目の前に座り、目の黒めにうっすらと♡のマークが見えてきそうなほど、蕩けきった目をこちらに向けながら、ぽつぽつと話出した。


「弟君の誕生日って1週間後でしょ?♡18歳になって結婚できるんだよね?♡♡最近、起きてる間中ずっと、ずーーーーっと結婚について考えてたんだよね♡♡♡そしたらつい理性がトンじゃった♡♡」


「けいさつ…。」


「ご、ご、ごごめんなさい。ほんと警察だけは!!」


焦ったように土下座を繰り返す姉。さすがに身内から性犯罪者が出るのは嫌なので、それだけはやめといてやろうか。


「いったん落ち着いた?」


「は、はぃぃ♡♡」


怪しい…。


「あの、、♡♡」


「ん?」


「ハァ♡ハァ♡」


「おねーちゃん、普通に気持ち悪いんだけど…。」


「イグゥ♡♡ふう♡突然の罵倒はずるいわよ♡♡」


頬を赤く染めながらなんとか澄ましたような顔をつくっているが、嘆息の頻度からかなりの興奮が伺える。


「弟君はもちろんおねーちゃんと結婚してくれるのよね?♡♡」


「い、いや?」


「なら、おねーちゃんを奴隷として一生飼ってくれるのよね…?♡♡」


「もちろんNOだよ!?」


「え…?それはおねーちゃんに死ねって言ってるの.....?」


「頼むからこれ以上突拍子もないこと言わんでくれ…。こっちは実の姉の全○土下座セクハラ凸で脳のキャパが限界何だよ…。」


「でも、弟君は私のことをお嫁さんにも、奴隷にすらする気はないのよね…?私は姉以上性○隷未満の関係を続けるのはごめんなのよ??」


「一体いつからだ、僕が姉以上の関係になったのは。」


「一体いつからだ、弟君が差し出してくるお○んぽに間をおかず口で応えられるようになったのは。」


「いや、ネテロのつもりで言ってねえよ!?まじで何言ってるかわからないから、僕からのお願いだけ簡潔に伝えるな!」


ふぅ、とひと呼吸置いて、


「結婚はしねえ!!!死なないでくれるとありがたい!」


僕の勢いに圧倒されたのか、ポカーンとした表情を浮かべ黙っている姉。再び目にハートを浮かべると、


「私ともっと一緒にいたいってことね!?♡♡」


勢いに胸元に飛び込んできた姉を、両の手で全力で引き剝がす。どうやら我が家には超ど級の変態姉がいたようだ…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る