第27話 魔界への入り口
長らくお待たせいたしました。
ワイフのコロナもだいぶ良くなってきましたので執筆の時間も少し取れるようになりました。
まだ全力とまでは行けませんが頑張って書いてゆこうと思います。
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ナナシとキサメは更に先に進んだ。ここは34階層だ。前の33階層とそんなに変わらないが少し森林が出てきたようだ。
「おいおい、あいつら人間じゃないか。どう言う事だ。前衛の奴ら抜かれたのか。まったく役に立たない奴らだな。何をしてやがるんだ」
「どうした」
「はい、クレゲント様、どうやらここに人間が入って来たようです」
「それは珍しいな。わしが何人か中に入れろと言った時以来か。あれからどれ位になる」
「そうですね、かれこれ20年位にはなるかと」
「そうか、なら丁寧に頂かないとな」
「はい」
ナナシ達はそんな事を言われてるとは知らず彼らの元に向かっていた。
「あれ、ナナシさん、向こうにも悪魔がいますよ」
「そうだな、今度は3体か。ん?、一体はほんの少し強そうだな」
「あれがですか」
「まぁあれでもな」
ナナシ達の前に2体の悪魔が立ちはだかり、もう一体はその後ろで様子を眺めていた。
「お前ら、前衛の奴らをどうした」
「前衛って、あの2体の屑悪魔か」
「貴様、我らを屑だと。面白い事を言ってくれるな人間よ」
「屑だから屑だと言っただけだ。今度は中位悪魔か、後ろにいるのが上位悪魔だな」
「貴様らに我らの違いが判るはずがあるまい。我らはお前らより遥か上位の存在だ。貴様らに我らの力など判断出来るはずがあるまい」
「そうでもないぞ、お前ら魔将よりも弱いだろう」
「ま、魔将だと。何故お前はその名を知っている」
「魔将と言うのは魔界将軍よりも下だろう。そんなやつらならこの世界にもいたぞ」
「き、貴様。何を言っている。我々以外に、まして魔将様などいるはずがなかろう」
「そうでもないぞ。かって100年ほど前に魔将と呼ばれた悪魔がいた」
「何が魔将だ。貴様何を言っている」
「待てグリゴル。100年前と言ったか。そう言えばその頃魔界を逃げ出した魔将がいたと聞く。確かその者達は反逆の魔将と呼ばれていたとか」
「そうか、確かにそんな名前の魔将がいたな。しかしそれなら何故こいつら人間が生きている。魔将様ならこんな人間の世界などとっくに殲滅されているだろう」
「知らないのか、それら8魔将は全員この世界で殲滅されたぞ」
「ば、馬鹿な、そんな事があってたまるか。魔将様が殲滅されるなど」
「つまりお前達の力はそ程度だと言う事だ」
「グリゴル、キゾール、そいつらを殺せ」
「はい、クレゲント様」
グリゴルとキゾールと呼ばれた2体の悪魔はナナシとキサメを葬るべく襲い掛かって行ったがあっさりと返り討ちにあって消滅させられてしまった。
「ば、馬鹿な、何故我々が人間程度に負けるのだ」
「それだけお前らが弱いと言う事だろう」
「何を馬鹿な事を言っている。悪魔が弱いだと」
「そんな事よりお前らはここで何をしている。ここは表の世界だぞ」
「我らが何処で何をしようが貴様らの知った事か」
「そうか、ならお前を締め上げて聞くしかないようだな」
「わしの体に聞くだと、舐めるなよ人間。上級悪魔の力がどんなものか見せてやる。覚悟しろ」
ナナシに押し出される形でキサメが前に出た。自分でも分かっていた。これもまた修業の一環だと。
そしてわかった。この悪魔はあの「夢見のダンジョン」で会った悪魔より弱いと。
いや、それもまた正解ではない。今のキサメはあの時よりも遥かに強くなっている。今ならあの悪魔に会ったとしても脅威は感じなかっただろう。
キサメは瞑想と戦闘で身に着けた「魔闘気」をこの悪魔に浴びせた。それはもはや魔将をも通り越した魔界将軍並みの魔力だった。
その「魔闘気」だけで悪魔の動きが制限されていた。そこにキサメの波動拳が炸裂した。
上位悪魔クレゲントは殆ど何も出来ないまま動けなくなってそして体が溶け出していた。
「ぐふ、しかし、この程度で悪魔が屈服するとでも思ったか」
「お前は体が消滅してもまた復活すると思ってるんだろうがそれは考えが甘いな。その者の「魔闘気」の前では復活する事は不可能だ。試してみるか」
そう言っている内にも悪魔の体がどんどん溶けだして行った。そして復元する気配は全くなかった。
「ま、待ってくれ、いや、待ってください。何でも話しますから命ばかりは」
ここで一旦キサメは「魔闘気」を収めた。
「悪魔でも命は惜しいか。ではお前達の目的は何だ」
「そ、それはここにある魔素球を管理保全する事です」
「ここの奥にあるあの丸い球体の事を言っているのか」
「そうだ。いや、です」
「何の為に」
「それは我々の様な下っ端には聞かされていません」
「下っ端だと。お前は上級悪魔ではないのか」
「これはもっと上からの指示なんです」
「お前よりも上、なら魔将か魔界将あたりか」
「さーもっと上かも知れません」
「もっと上か。ここはダンジョンだがどうして魔界になっている」
「それは魔界の魔導士が穴を開けてこのダンジョンにつなげたのです。一種の亜空道です」
つまりこの悪魔はこのダンジョンが魔界につながっているのだと言った。
ただ誰でも魔界からこちらに来れる訳ではなく、かなりの魔力を持った者が魔紛石を持って初めて移動が可能になると言っていた。
と言う事はこちらから向こうに行く事もまた可能だ。
ナナシはしばらく考えた末に、一度魔界に行ってみようと考えていた。
何時の日か悪魔とは戦わなければならない時が来るかもしれない。それなら悪魔の実態を知る事もまた戦略としては大事な事だろうと思っていた。
「この穴を進めば魔界に入れるのか」
「一応魔導士達が結界を張ってますが」
「つまりお前達以外はもうこっちには出て来ないと言う事だな」
「今の所はですが」
「そうか、ご苦労だった」
そしてその悪魔はナナシの手によって消滅させられた。ナナシが悪魔を開放する事はあり得ないのだ。
「ナナシさん、どうするつもりなんですか」
「そうだな。私は一度魔界に行ってみようと思ってる」
「そんな。危険過ぎるでしょう、それは」
「しかしここまで悪魔が出て来たとなると放ってはおけないだろう」
「それはそうですが、向こうがどんな所なのかもわからないのですよ。それでも魔界に乗り込むと言うのですか」
「こちらの世界の安全を考えればそうするしかないかも知れないしな」
「わかりました。ではわたしもお供します」
「いいのか」
「はい」
本来それは私の役目なんですとキサメは言いたかったがそれはまだ言えなかった。
ナナシはキサメを連れて魔界に行く事にした。果たして魔界では何が待っているのか。
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