第8話:食えない朝食。

朝、起きるってだけで大騒ぎ・・・これから毎日こんなに騒がしいのか?

どうしたもんだろ・・・先が思いやられる。


瑠奈るなってあんなトンでるキャラだったっけ?・・・幽霊になって

やっぱ性格変わったな?


生きてた時は、もう少し乙女だった気がするんだけど・・・まあドジな

こととノ〜天気なことは、あまり変わってない気はするけど・・・。

まあ、超可愛からいいけどな・・・なにしたって許せてしまうんだよな。


「さっさと顔洗ってきて、叶多かなた


「姉ちゃん起きてるのか?」


「お姉さん、まだ寝てるよ」


「え?じゃ〜朝飯、まさかおまえが本当に作ったのか?」


「私以外誰がいるの・・・」


「え?できてるのか?」

「さっきも言ったけど、幽霊なんだから料理道具だって触れないだろ?、

朝メシなんか作れないだろ?」


「気合と根性だよ・・・15分は実体化維持できるようになったからね、私。

朝ご飯なんかちょちょいだよ」


「本当に作ったのか?朝メシ」


「もち」


「やるな〜」

「姉ちゃんは朝弱いからな・・・朝メシいつもギリなんだわ」

「こんなに早くに朝メシ食ったことないよ・・・」


「今日から、私が毎日朝ご飯作ってあげるからね」


「ふわ〜ああ〜〜〜〜おっはよ〜・・・」

「あんたら、早いわね」


大あくびしながら姉ちゃんが起きてきた。


「おはよう、姉ちゃん・・・瑠奈に4時に起こされたんだよ」


「あ〜そうなんだ・・・可哀想・・・4時になんて起こされたら私ならキレてるね」


「おまたせ〜朝ご飯よ〜」


「え?瑠奈ちゃんが作ったの?」


「料理できるみたいだぜ・・・だから朝メシも・・・も?・・・」

「・・・・・・」

「なにこれ?・・・」


「朝ご飯だってば・・・」


「え?この四角くて真っ黒いやつ、もしかしてパンか?・・・もはや

トーストじゃねえじゃん・・・」


「バターとかジャムとかヌリヌリしたら食べられるよ?」


「まじでか〜・・・」

「それになに?、え?え?え?・・・こっちのも真っ黒じゃん」


「スクランブルエッグ」


「うそ〜・・・こ、これが?」

「この黒焦げの物体が?、スクランブルエッグ?」

「あのな瑠奈、ご飯ってのはさ普通食えなきゃ意味ないの」

「どうやったらこんなふうになるんだよ・・・」


「そんなの知らない・・・」


「知らないって・・・こんなんじゃ朝ご飯って言えないだろ?」


「だって生きてる時、朝ごはんなんて作ったことなかったんだもん」


「じゃ〜なんで作ろうなんてって思ったんだよ」


「だって〜」


「にしたって、朝食用レシピとか、ネットでいくらでも落ちてるだろ?」


「レシピとか見ながらなんてそんな器用なことできないもん」


「待て待て、レシピ見たって作れない人は作れないの・・・料理だってセンス」

「あのさ、明日からまた私が朝ご飯作るから、いいよ・・・」


瑠奈が作った、食えない朝ご飯らしきものを見て姉ちゃんが言った。


「お姉さん、ごめんなさい・・・」


「いいのいいの・・・瑠奈ちゃん素直だから、好きよ・・・大丈夫だからね」


「叶多、あんたも瑠奈ちゃんにもう少し優しく言ってあげなよ」

「食べられなくても一生懸命作ったんだからさ・・・」

「あんまり偉そうにしてると瑠奈ちゃん、あの世に帰っちゃうよ」


「そ、それは絶対困るって・・・俺、瑠奈がいなくなったら生きてらんないもん」

「瑠奈、ずっと俺のそばにいてくれるよな?」


「叶多が、あまり冷たくしたら、もう一回くらい死んじゃうかもよ、私」

「も一回って・・・一度死んでるだろ・・・幽霊が二度も死ねるわけないだろ」


「だから・・・いちいちツッコムなって・・・」

「こういう子なんだから、おまえの大きな心で包み込んでやりな」

「もっとも叶多に大きな心なんてないのかもしれないけどさ・・・」


「包容力ってやつだろ・・・あるよ俺にだって、でっかくはないかもしれない

けどさ・・・」

「ごめんな瑠奈・・・朝メシがんばって作ってくれてありがと・・・悪かったよ

ツッコミまくって・・・」

「だからさ、朝食は姉ちゃんに任せて・・・瑠奈は完全実体化だけに全集中

したまえよ」


「たまえよ?・・・なにそれ?」


とぅ〜び〜こんて乳。


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