第13話 ルーズベルト家侵攻クエスト
◇1~3日目
敵国にばれないように3日ほどかけて慎重に侵攻を行い、3日目の夜に森の前まで行ったところで夜更けとなったので、翌朝から森に入る流れとなった。
そうして、それぞれのチームリーダーが集まり翌日以降の作戦について話し合う。
「森の大きさ的に1日あれば抜けられるよなー」と、サビンが言う。
「そうですね。しかし、中級の魔物がいるという情報しかないですから。それにその数も不明ですし。場合によっては迂回することも検討しないとですね」と、ワンが続く。
「森で1日は...少し危険ですよね」と、アンコックが地図を眺めながらそう呟く。
「ですな。まずは下調べに1日、実際の侵攻はもう1日かけるのが良いかと」と、マッドも同意する。
「意見は纏まったみたいだな。明日はまず下調べ。実際の進行は明後日以降ということで」と、カグラッチがそうまとめてその日は眠りについた。
◇4日目
森の中に入り探索を行ったものの...どうやら警戒するようなものはなく、中級の魔物も確認できたのは2体だけ...。
「こりゃ思っていたよりずっと楽なクエストだったんじゃないか?」
「確かに。これであの金額が手に入るなんて...。本当こんな警備で今まで侵攻されなかったのが不思議なくらいです」
「まぁ、噂が噂を呼ぶってやつでしょうな。我々もここに来るまでは相当数の魔物を想定していたわけですし。それがまさかここまで手薄なんて...」
「森を抜けちゃえばあとは城だけでしょ?城の中には戦力になる人もおらず大半は元奴隷らしいしな?」
「...女もいるのかな?」
「そりゃいるでしょうな」
「そうか...。そりゃしばらく楽しむのもありだな」と、そんな下衆な会話で盛り上がる男共。
そうして、5日目を迎え昨日の探索した場所をそのまま進み、夕刻の頃には城の前まで来ていた。
「侵入は深夜と早朝のどっちにします?」
「そうですね。野宿もうんざりですし、さくっと夜に侵入して貴族御用達のベッドでおいしいワインを飲みながら奴隷を囲って楽しもうじゃないか」
「「「「うぃぃーーー」」」」
◇ある日の夜
「ふぁあ...あぁ...眠い...」
「別におぼっちゃまが出なくもよいのでは?相手のレベルについては概ね把握しましたが、私どころか...子羊一匹で足りる戦力に見受けられましたが...」
「まぁ、相手の強さの問題ではないんだよー。この左手でどの程度戦えるかは把握しときたいのと、リハビリも兼ねてな。あと、侵入しようとしているやつには色々聞かないとだからな」
「...さようでございますか。それでは一応近くで待機しておきますね」
「あいよー。さて、そろそろ頃合いかな」
◇
「...入れそうか?」
「...はい。というか、門兵一人いないなんて...」
「本当...ふざけた野郎だよな」
「門の破壊は難しいですが、ロープを使えば上からの侵入は可能かと」
「わかった。じゃあ「ったく、折角北側に罠を設置したのに、南側からくるなんてなー。本当、こういう運がないんだよなー」
全員が一気に臨戦態勢に入る。
さて...まずは数値から見てみるか...。
左目だけで相手を見ると数値が表示される。
魔力は...一番高くて600程度か...。
剣士らしいやつもレベルでいうと12程度ね。
「想定より遥かに小物だなぁ。こりゃセバちゃんがああいうのも納得だな」
「陣形!!」というと、それっぽい形に整える。
前方に剣士や武闘家...。中間に召喚士と弓使い。後方に魔法使い...バフ役か?
そうして、指をポキポキと鳴らしながら、「さて、99%の制限で十分そうだな」
【魔法制限/スキル制限/身体能力制限:99%】を自身に付与する。
「...は?」
「さて、このハンデで少しはいい戦いができることを祈っているよ」
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079669082939
「...構え!攻撃!!」
◇
目を覚ますとそこは牢獄だった。
手足には錠が嵌められている。
「...俺たちは負けたのか?」と、呟くと牢屋の奥で椅子に座っている先ほどの男が欠伸をしながら「ふぁあ...うん...負けたんだよー」と返答する。
「...貴様...何者だ?」
「...それ聞いてどうすんのさー」
「自分に勝った奴の名前くらい知りたいと思うのは自然では?」
「そうだね。けど、それくらい知っているはずじゃないのか?俺はこの城の持ち主...ルーズベルト家の三男のラン・ルーズベルトだよ」
「そういうことじゃない...。あの力...のことを聞いている」
「じゃあ、先にこっちの質問に答えてもらえるかな?君たちはボヘミア国の人ってことで良いのかな?」
「...あぁ」
「ここには貴族に命令されてきたの?」
「...いや、命令ではない。こういうクエストがあるからと紹介されて...自分から名乗り出た」
「ふーん。意外と素直に答えてくれるんだ」
「...別に国がどうなろうと...困るのは貴族の連中だけだろう。それにあんたとの実力差はわかっているからな」
「っそか。んじゃ、君が知っている限りのことと、もう一つ協力してもらいたいんだけど、いいかな?」
「...あぁ。すべて従おう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。