第12話 はい、あーん...
「セバちゃーん。ちょっといいー?」
「どうしました?おぼっちゃま」
「魔法陣の強化頼んでいい?」
「...何かございましたか?」
「いや、リベルがボヘミア国にここが狙われているって聞いたから。警備の強化しようかなって」
「...ここが狙われてるのですか?」
「なんからしいよ?実際、貴族会でもそんな話聞いたし、ガチっぽいよ。てことでよろ?」
「かしこまりました。レベルはいくつまであげましょうか?」
「...あー、うん。そっか...。いや、ごめん。魔法陣はそのままでいいや。代わりに感覚の共有だけしておいて。
「...何か企みがあるのですか?」
「せーかい。ま、楽しみにしておいてよ」
「羊たちは準備させますか?」
「んーにゃ、いいよ。迎え撃つのは俺だけでいいから。さーてとっ、忙しくなるぞー!」
◇
城の外に出て色々と作業していると、「あらあら、こんな朝早くから何をしてるのかしら?」とナーベに声をかけられる。
「ん?まぁ、色々となー。早起きは三文の徳だからな」
「それより、リベルに話を聞いたのだけれど、この前貴族会で話されていたことはどうやら本当のようね」
「耳が早いな」
「私に手伝えることは何かないかしら?」
「特にないよ。部屋でゆっくりしててくれればいい」
「あら、第一妃に随分冷たくあたるじゃない」
「...自分はそういうの気にしないとか言ってなかったか?」
「なったらなったでまた気持ちが変わるものよ?ほら、アインちゃんにはすっかり嫌われちゃったし」
「...第一とか第二とか気にするなとは言ったんだけどな...」
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079584839964
「そう」
「...つーか、その格好...それ正しい着方なのか?めっちゃ背中出てんじゃねーか」
「あら?もしかしてこういう格好が好きだったりするの?」
「まぁ、嫌いではねーな」
「いいのよ?いつでも私の柔肌に触って」
「...そういうことしてるからアインに嫌われるんだぞ?」
「ふふっ、そうね」と、俺ではなく俺の奥を見ている気がして振り返ると、、、。
窓から覗くアインちゃんの姿があった。
「...あー。怒ってんなー」
「作業はまだ時間かかるの?」
「んーゃ、大体終わったよ」
「それじゃあ、行ってあげなさい」
「あいよー。アインちゃーん」と、手を振りながら走っていくも頬を膨らませて、プイッとそっぽを向いてしまうアインちゃん。
すぐ妬いちゃうところすごく可愛いなー。
◇
「お待たせ!」と、アインちゃんの部屋にお邪魔をする。
「...待ってません」
「えー、俺のこと見てたのにー?」
「...見てません」
「そんなに拗ねないでよー?みかん食べる?」
「...いただきます。...あーんで食べさせて欲しいです」
「いいよー?ちょっと待ってねー」と、みかんの皮を剥きながら話をする。
「...私、面倒臭い...ですよね?」
「何が?」
「いや...ラン様がこそこそと...ナーベさんと何かをしているわけないのに...。いちいち拗ねたり...。...分かってるんです。それが困らせてることは...。けど、どうしても...我慢できなくて...すごく...不安になるというか...」
「あーね、分かるよー?気持ちは。俺も仲のいい友達が他の友達と爆笑してる姿見るとちょっと嫉妬したもんなー。うん、わかる」
「...そのお友達は女の子ですか?」
「ううん。ムッキムキの男」
「...そう...ですか」
「嫉妬するってことはそれだけ相手を好きって事でしょ?それで嫌な気持ちになったりしないよ?ってことで、ほい。剥き終わったよ」
「...あーん」
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079585097374
おい、なんかすげー卑猥に見えるぞ。
なんか...すっごくワクワクすっぞ。
「は、はにゃく...たべさせてくだしゃい」と、舌を出して待機している...。
ゆっくりと、彼女の唇に近づけるとそのまま俺の指ごと食べられてしまう。
「はむ」
「ちょっ!?//」
そのまま俺を指を甘噛みするアインちゃん。
「...//」
(この子、すっごくエッチなのでは?)
「...こ、こういうのが好きですか?//」
「すごく好きです」
「そ、そうですか...//えへへ」と、可愛らしい笑みを浮かべるアインちゃんとイチャイチャするのであった。
◇
「...そろそろ準備を終えたかな?」と、今回のクエストのリーダーを務めるカグラッチが声をかける。
「サビンチーム、おっけーでーすう」
「ワンチーム、準備OKですよ」
「アンコックチーム、いつでもいけますよ」
「マッドチーム...いけます」
「そんじゃ、行きますか」
こうして、ルーズベルト家侵略クエストがスタートするのだった。
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