第48話 俺ニート、けがの救済措置制度を知る

(…………)




もんのすごく疲れてしまった。


今回は結構長いバトルだった上に、死の覚悟をしただけあって、


肉体的にも精神的にも疲れていた。




「淳一さん、お疲れさまでした」




俺が疲れても、アリスは顔色一つ変えずに、いつもの言葉を言った。




「今日はすこし長い戦いだったので疲れました……」




「今回の相手結構強かったですよねぇ!」




「はい……特に最後の羽交い絞めしたのに抜け出されて、銃を奪ったところは本当に焦りました」




もしかして相手は、過去にもそういう経験があったのだろうか?


普通羽交い絞めされたら、焦ってしまうと思うのだが……




「それにしても……淳一さん強くなりましたねぇ、そろそろランクアップが来ますが、仮に上のランクになったとしてもやっていけそうです!」




「俺はランクが上がろうとも、己を信じて戦いますよ。ニートを守るために」




そして……相手のお願いを聞くために……な。




「それじゃあ、あと何かなければこれで話は終わりとなりますが……」




「ああ、大丈……うっ!」




忘れたころに復活する足の痛み。


俺は思いっきり踏まれたんだ。羽交い絞め脱出のために。




「淳一さん!大丈夫ですか?」




(…………)




正直に言えば大丈夫じゃない。


下手すれば明日の戦いにも大きな影響を及ぼす可能性があった。




「少し足を拝見させて頂きますね」




アリスは俺の足を確認した。




「赤く腫れあがっていますね……相手はかなり強い力で踏んできたと思われます」




「はい……まあ相手の目線で考えると、拘束されていますから、力技や頭を使って脱出したくなる気持ちはわかります」




「そうですね……ちなみに明日のバトル、できそうですか?」




「もしかしたら、厳しいかもしれませんね。でも戦わないといけないんですよね……」




「いえ、そういうわけでもありません」




「でも22時までにゲートの前にいないと、負けになるって……」




「はい、基本的にはそうなります。ただ3つの例外を除けばですが……」




「例外……ですか」




「はい、もし戦闘時にけがをしてしまった場合は、『レガトゥス宣言』というものが使えます」




「レガトゥス宣言……ですか」




「これを使うと、どんな理由であれ月3回までバトルをせずに1日を終わることができます」




(……!)




なんだって!?そんなルールがあったのか!


最初から教えてくれれば、メンタルが落ち込んだ時にできたというのに!




「ただし……バトルに参加しないので、その日の報酬はゲットできません。働かざる者食うべからずっていうやつですね」




俺ニートなんだけどな。




「なるほど……」




「ちなみに月末終了と同時にリセットされるので、使えるときに使った方がいいかなと思います」

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