第18話 そばかすフェニックス侍


私がそばかすフェニックス侍でござる

ハミルENの長老じゃ

96歳

歳をとったの

シミも増えてきてのう


フェニックスは500年生きるし、

炎に焦がされて死ぬんじゃが、灰の中から若い姿で再び生き返るんじゃな

ワシの場合は人型じゃから100年で死ぬんじゃが、中2の姿で生き返る

シミはそばかすに生まれ変わる


ワシの誕生日は5/3じゃから3年と3ヶ月後には中2に戻ることになる

ゴールデンウィーク明けに恰も当然のように颯爽と登校する

5月病などどこ吹く風じゃが、

問題は突発ニキビ的な中二病じゃな


ところで厨二病ってなんじゃ

調べる


不自然に大人びた言動

自分が特別な存在だと思い込む

自己顕示欲とコンプレックスを交錯させた状態

独自の世界観・大人への反抗・孤独感


難しい言葉使いたくなるみたいじゃな

来る未来へ向けて練習しておくかの

道徳の授業じゃな


「先生。私達のレゾンテートル、つまり存在理由は何処に憚り解せるのでしょうか。我々は滅び焼却、輪廻、再びこの三千世界で我々の所在となる小世界において人の皮を着ぐるみ世を全うする次第です。肉体という模様は変人しますが魂は変質を遂げず、箱のみが鶏皮るのです。鳥も同様に雀に烏に鳩に鴫に鶴に鷲に鷹に千鳥。かまいたちも同様です。鎌鼬とは突然皮膚が裂ける現象であり、鼬鼠イタチの仕業などと解されることもあるようですが、そのフィクサーは・・」


2025/2/3


「そばかすフェニックス侍何してるの?」

「おや、ナツコ殿。ちょっと中二病の訓練を」

「?」

「アッハッハ!」

「今日私の誕生日だからケーキ買ってきた。いつもありがとう。36歳になりました」

「おお!そうじゃったか。ありがとう」


ハミルENの誕生日に際して未成年の頃はそのままの"誕生日おめでとう"だが、成年になると周りに感謝を告げる日になる。誕生日の本人がケーキを配って歩いたりささやかなプレゼントを贈ったりする。誕生日会なども本人の意思で開催しても良いし、その場合は誕生日本人が周りの人間を饗す。

いつもありがとう

赤いちゃんちゃんこを羽織った時に、赤子があやされるように誕生日おめでとうに戻る、滅びる迄


即ち19歳から59歳の41年間は、生命ありし存在という事実、周りへ感謝を告白することによって生命体を証明する期間になる


「36歳になりました。今までありがとうございます」

年輪のしるしを人の心に刻んでいく


「ナツコ、ケーキいただくぞい」

「うん、あともう一つ。これ私の36歳の手作りペンダント」

「おお!ペンダントとは。ありがとう。ナツコの36歳じゃな」

「アメジストで作ったの。私の誕生日の2月の誕生石だから。裏に」

「36、彫ってあるんじゃな。よしよし」

「うん」

ワシはペンダントを首にかけた

「どうじゃ、ご機嫌は」

「うん、元気だよ。でも少しファントムペインが」


ワシはしゃがんで左手で車椅子を握り、右手でLADYの左義足に手のひらを触れた

重なる左手が降りてきて、オナゴの右手がワシの頬の紋様に触れた

何故にワシが零してしまって、アメジストに一粒が落ちた

パープルが滲んで広がって淡くなり輝きがぼやけて、彼女の水滴が右手に温かく落ちた

手の甲に伝わる染みと温度が何故に愛々しげで、おめでとう、掟を破 った


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#20250203


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