【完結】空白の美学

第19話 部屋が広くなり引越しを考える（続き）

数週間後、香織はモバイルハウスの購入を決定し、涼介の助けを借りながら手続きを進めていた。彼女の新しい生活は、もうすぐ始まる予定だった。しかし、香織はふと立ち止まり、長い人生を見据えたときにモバイルハウスが本当に最適な選択なのか考え直し始めた。

「涼介、ちょっと話があるの」と香織はある日のランチタイムに涼介に声をかけた。

「どうしたの、香織？」と涼介は心配そうに尋ねた。

「実は、モバイルハウスの購入を考え直しているの」と香織は言った。「短期間なら楽しいかもしれないけど、長い目で見たときに本当にライフスタイルの変化に対応できるのか不安になってきたの。」

涼介は少し考えてから、「それは大事なことだね。確かに、モバイルハウスは魅力的だけど、長い人生を考えると変化に対応しきれない部分もあるかもしれない」と同意した。

「そうなの。例えば、将来仕事が変わったり、家族が増えたりした場合に、モバイルハウスでは対応が難しいかもしれないわ」と香織は続けた。

「それに、移動する生活がずっと続くとしたら、それも疲れてしまうかもしれないね」と涼介は付け加えた。

「うん、だからもう一度しっかり考えて、今のライフスタイルに合った選択をしたいと思うの」と香織は決意を新たにした。

「それはいい考えだよ、香織。無理をせずに、自分にとって本当に必要なものを見極めることが大事だね」と涼介は励ました。

二人はカフェで話し合いながら、他の選択肢についても考え始めた。例えば、コンパクトで機能的なアパートメントに引っ越すことで、必要最低限の物だけで快適に暮らす方法もあると話し合った。

「それなら、移動の自由もありながら、必要に応じてライフスタイルを変えていけるわね」と香織は納得した。

「そうだね。それに、アパートメントなら都市部でも自然の中でも生活できる選択肢が広がるし、必要なときに引っ越すのも簡単だよ」と涼介は続けた。

「よし、それじゃあコンパクトで機能的なアパートメントを探してみよう」と香織は決意を新たにした。

その日の仕事も、香織は集中力を保ちながら順調に進めることができた。ミニマリストの生活が、彼女の心と仕事に大きなポジティブな影響を与えていることを実感し、香織はますますその生活に魅了されていった。

香織はモバイルハウスの購入を見送り、コンパクトで機能的なアパートメントを探し始めた。涼介と一緒に新しい住まいを見つけるための計画を立て、物を手放すことで得られる自由と幸福を実感しながら、彼女は次なるステップへと進む準備を整えていた。

「新しいアパートメントでの生活がどんなものか、楽しみだわ」と香織は心の中で呟いた。彼女のミニマリスト生活は、新たな冒険と発見に満ちていくのだった。