第24話 500年前の

 3日後。


「ちくしょう……」頭を抑えて、ララが立ち上がった。「キミ……普段はどんだけパワーを抑えてんの?」

「詳しい出力は知らない」


 とにかく、今までのアテナが超絶手加減をしていたことを知った。なんとも嫌になる事実である。


「ねぇアテナぁ……」ちょっと弱気になったララが、「キミの中身を見せておくれよー。どんな技術が使われてるか気になるよー」

「ダメだ」

「そう言わずにさぁ……コピーの技術なら自信あるからさぁ。1回見たらかなり真似できるよ。もちろんアレンジは加えるけど……」

「真似して勝って嬉しいのか?」

「嬉しいね」即答だった。「技術と科学の進歩は、いつだって真似からスタートするのさ。だから目の前にある超技術を逃す手はないよ」


 最初からオリジナルの技術など作れない。最初は模倣から始まるのだ。なんなら最後も模倣になるかもしれない。


 ララは模倣力には自信があった。ある程度の技術なら真似できると思っていたのだ。


 だからアテナの中身が見たい。その技術がほしい。ララの手に届かない超技術が目の前にあるのに、中身を見ることは叶わない。なんとも歯がゆい状況だった。


 ララは粉々になったカメオを見て、


「ああカメオちゃん……無惨な姿に……」跡形もなく破壊されていた。「こりゃ修復は無理だなぁ……新しく作るか」


 諦めるという言葉はララの中に存在しない。


 ララはいつものようにとあるパーツを探して拾い上げた。


「えーっと……またカンストか……50000」50000まで測れるようになっているはずだ。「50000以上の攻撃力かぁ……まったくふざけてるね」

「ふざけてはいない」

「知ってるよ」皮肉で言っただけだ。「しかもキミ……アレだろう? 500年戦って、かなりボロボロになってるでしょ? 全盛期よりは弱いはずだ」


 それでこの強さである。生み出された直後はどれほど強かったのか。もはや想像もできない。


 ララは言う。


「どうせなら500年前の、全盛期のキミも倒したいなぁ……タイムリープの方法でも考えるか。そうすりゃキミの創造主様にも会えるし」

 

 一石二鳥である。製造中の様子を見れば、アテナの中身を知ることができるだろう。だってアテナの製造中にアテナは稼働していないのだ。邪魔するやつはいない。


 現状のララの技術力ではアテナに勝てない。ならば他の技術を仕入れてくるしかない。そして今、ララが一番欲しい技術はアテナの技術だ。


 その技術を手に入れるためには500年前に行けば良い。それがララの結論。


「そうと決まればタイムリープ装置も作ろう」

「そんな簡単にできるものなのか?」

「さぁね、わかんない。作ったことないし」それでもやるのだ。「タイムリープ装置が作れたら魔女さんにも会えるかもしれないし、昔の勇者様にも会える。一石四鳥くらいありそうだね」


 どうせなら過去も含めて最強の証明をしてしまえば良い。というかそっちのほうが気持ちが良い。そうララは思った。


 しかしそうなると……果てしないほどの長い時間を必要とするだろう。


 ……


 一応不老不死の方法でも考えるかな……

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