第18話

「ツリアーヌ嬢! お会いしたかった!」


「まぁ。ミカルド様。お久しぶりでございますわ!」


「ミカルド王子。久しぶりだな」


「……国王もご一緒で」


「シューデン王国の国王もいらっしゃるからな」



 相変わらずなお二人をさておき、シューデン王国の国王陛下がいらっしゃいます。先日の同盟締結以来、久しぶりの面会です。


「シューデン王国国王陛下。お久しぶりです」


「シューデン王国国王陛下。お久しぶりでございます」


「これはこれは。新ミリュー王国の国王陛下も王妃陛下も久しいな」


 ミカルド様が王子様然としたビジュアルをお持ちなら、シューデン王国の国王陛下はミカルド様に歳を重ねさせた面持ちです。イケてるおじさまですわ。


「イノーマス帝国とオヴェスト王国が……」


「そうだな。積もる話もあるが、まず本題といこう……」


 シューデン王国国王陛下は、ちらりとヤリアント様に目を向けます。


「新ミリュー王国の国王は、イノーマス帝国をどのように考えている?」


「大国です。正直なところ、我らシューデン王国、ボレーアス王国、新ミリュー王国が手を組んだところで勝てる見込みは少ないかと……」


「そうか。それだけか。そなたはそなたのことを知らんのだな。……はっきり言っておこう。現状、三カ国が手を組んだところで勝てる相手ではない。防衛に徹するという意味では勝算があるかもしれんが、持久戦だ。正直なところ、エステとティモルトからの支援があれば心強いが……」


 わたくしをちらりと見ます。シューデン王国の国王陛下は、わたくしが行ったことの全てをご存知なのかもしれません。



「エステ王国の王女殿下が後継者と正式に指名されれば、支援は期待できるかと思いますわ。ティモルト王国も、反応を見る限り支援してくださるか、と」


「確かにそうであろうな。では、イノーマス帝国の第二王子であるルファエラについてはどう思う?」


「……我が妻、ツリアーヌに関心を示しておりました。……しかし! 妻を犠牲にするつもりはございません!」


「……時に、国を支配する者は残酷な決断をしなければならないことがあるだろう。自国の民を守るために。あぁ、方法としては、王妃陛下を犠牲にするだけではないのではないだろうか」


 それだけ言って、シューデン王国国王陛下は下がられました。ここからは防衛についての取り決めが必要です。


 具体的に、どのように攻撃を受けたらどのように支援に走るかを共有します。両国が同時に攻撃される可能性もあります。必ず、国を守ってみせますわ!

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