第13話
「ただいま戻りましたわ〜!」
「え、メルティーヌ様!?」
元気よく城に戻っていらっしゃったのはメルティーヌ様でした。
「わたくし、少しばかり教育してきましたの」
「教育……」
返り血を浴びて満面の笑みを浮かべる絶世の美女……。その組み合わせは異質なものすぎますわ!
「お父様に帰還の報告をさせてくださいませ。あと、ティモルト王国の腐敗は叩き切ってきましたからご安心を」
鼻歌混じりに歩いてくるメルティーヌ様。ティモルト王国の腐敗……。メルティーヌ様はいったい何をしていらしたのかしら?
「……メルティーヌ。無事で安心したが、やりすぎだ」
「でも、お父様。わたくしの女神であるツリアーヌ様の命を狙ったのですよ? 命を取らなかっただけ優しさを残してきましたわ?」
メルティーヌ様は、ティモルト王国の城中を暴れ回り、国王陛下に“わたくしを襲わないこと”を約束して、戻ってきたそうです。“ツリアーヌ様の素晴らしさを語り聞かせたら理解してくれましたわ〜”とおっしゃっていらっしゃいましたが……。
「壊滅状態のティモルト王国が、イノーマス帝国との争い中に背後から攻撃してくることは無くなったでしょう。あの地響きがメルティーヌ様の行動だと判断すると、改修にはしばらく期間がかかりますから」
ヤリアント様がそう言ってメルティーヌ様の行動を誉めています。そんな好戦的な性格でいらしたかしら? わたくしの周りは皆様、好戦的すぎますわ……。
「……後日、ボレアース王国にお礼に伺いますわ」
「まぁ! お待ちしておりますわ、ツリアーヌ様!」
嬉しそうなメルティーヌ様を見送り、先程届いた手紙に目をやります。
「この状況で国を空けても大丈夫かしら?」
「しかし、友好国シューデンの王太子の生誕パーティーだ。欠席するわけにはいかないだろう」
「メルティーヌ様も出席されるとおっしゃっていたわ」
「……ツリアが来ると知ったから、強引に兄王子に招待状を譲らせたそうだな」
「ティモルト王国のスパイをしていた文官は処分しましたし、大丈夫かしら?」
ティモルト王国のスパイをしていたのは、クルトの部下でした。クルトから情報を得て、ティモルトに知らせていたようです。クルトは責任をとって辞職をと言っておりましたが、引き留めました。クルトは優秀ですもの。辞められたら困りますわ。
「クルト。留守を任せても大丈夫かしら?」
「もちろん。お任せください。ツリアーヌ様。ヤリアント様」
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