第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部【一首部門】

知良うらら

愛される小犬が見てた風景は 平凡な庭を名画にさせる


愛される小犬が見てた風景は 平凡な庭を名画にさせる



 先日、実家の小型犬が天国に旅立ちました。


 その子が写っている写真や、姪っ子が昔描いた絵などを見返していたら、有ることに気が付きました。


「実家の庭ってこんなに美しかったっけ?」と。


 子供の頃は、そんなに良い庭だと思った事は正直なくて、親が気まぐれにまばらに植えた木や花、無造作に置かれた仕切りの煉瓦なんかが、ただ雑なだけに思えて、プロの手が入ったようなキチンとした近所の家の庭が、何となく羨ましかったような思い出があります。


 だけど、その犬と一緒に映り、写真のフレームや絵の額縁に収まったその庭は、まるで別の場所のように素敵な庭に見えるのです。曲がった煉瓦も、ランダムに咲く花も、すべてが良い味を醸し出している。実際の風景は、私が子供の頃の庭となんら変わりはないはずなのに。


 あらためて凄い犬だったんだな、と思いました。


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