オールドターキーと学校の七不思議

ろきそダあきね

プロローグ

「ターキー!お前はいつも、いつも……何遍なんべん言ったら分かるんだ?俺の「未来の伴侶はんりょ」探しの邪魔をするなよなぁ……」

「ハァ?何が「未来の伴侶」だ。ただのナンパだろうが!テメェには一生嫁なんて出来ねぇよ!女好き野郎が!」

「――!おい、語弊ごへいがあるぞ!決して女好き野郎ではない!女性を第一に考えている、とても優しい紳士だぞ!」

「カハハハ、女性を第一に考えてもう32歳かよ!」

「ぐっ……まだ……32だ……お前も同じだろうが!」


 七面ななおもてあるき32歳独身。早朝からくさえんの「ターキー」と口論中、だがこれは日常茶飯事というかなんというか……基本的に二人はいつも一緒なのだ


 アルキは女好き。そう見られてもしょうがない。美人な女性を見ると、手当たり次第に声を掛けては口説こうとするからだ


 そんなアルキはイケメンと言える。背も高い。声を掛けられた女性達も割と反応はいいのだ。だが最後には必ず離れて行ってしまう。それをいつも一緒にいるターキーのせいにするから喧嘩にもなるのだろう。まぁ喧嘩するほど仲がいいともいえる


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「おいおい、そんな格好して男を誘ってるくせに嫌がるとかあり得ねぇだろが!奢ってやるって言ってるんだぞ!」

「痛い!やめて、誘ってなんかいません!離して下さい!」

 ガラの悪い大柄な男が、露出の多い服を着ている女性をナンパしているようだ。ナンパというにしても強引だ。男は女性の手首を掴み連れて行こうとしている。

 女は必死に抵抗をしているようだが、引きずられる彼女を通行人の誰も助けようとはしない。誰でも朝からこういう事には首を突っ込みたくはないのだろう


「ほほぅ、早朝からナンパとは……しかも嫌がる女性を無理矢理に!どうもスマートじゃないね!」

 先程、早朝から女性を口説こうとしてターキーに邪魔されたアルキだが、そう言って男の前に立ちはだかる。当然のように首を突っ込むアルキは、もちろん自分のことは棚にあげる


「何だぁお前は?スカしやがって!」

いかにもという台詞を吐く男は、アルキのほうに歩み寄ると斜め下から覗き込むように睨みつけそういう


 女性のほうは、まだ腕を掴まれたままのようで、痛そうに顔をしかめ、縋るような目でアルキを見つめる


「お前は一つ勘違いをしている。女性が肌を出しているのはあくまでファッションだ!自分を表現しているに過ぎない!見せたいのではなく見られても平気だからそういう服を着ているんだ!誘っているわけではないんだぞ!」

「ごちゃごちゃうるせぇぞ!カッコつけてんじゃねぇ、オッサン!ぶっ殺すぞ!」

「――!オッサ……くっ……よし!ターキー君やってしまえ」

 

「ハァ?結局俺かよ!……しゃぁねぇな……おい!怪我したくなかったらそのオンナを置いて行け!」

 

「――?何言ってんだテメェ!キモい奴だな……めんなぁ!」

 

 男は女性から手を離してターキーに殴りかかる。顔面がんめん目掛けて放ったこぶしは、直撃せずに弾かれた

 

 男は何が起きたのか理解できていない。自身の拳が棒立ぼうだちのターキーに当たらないのだ

 

 驚愕きょうがくしつつ、何度も殴りかかるが全ての拳がターキーに届くことは無い

 

 蹴っても殴っても弾かれる。男はチカラ任せに押し倒そうとタックルを仕掛けてきた

 

 平然とするターキーは向かってくる男に対して手の平を前に突き出す!

 すると男の身体はカウンターを食らったように後ろに弾け飛び倒れた。ぴくりとも動かない男。


 アルキは恐る恐る様子を見る。男は地面に打ちつけられた衝撃により、気を失っただけのようだ。安心したアルキは、軽い足取りで女性のほうへ歩み寄ると、爽やかな笑顔で声をかける


「やあ、怪我は無いかい?素敵なお嬢さん」

 アルキがすかさず女性に手を差し伸べる


「あ……ありがとうございます……」

 争い事に腰を抜かして座り込んでしまった女性は、アルキの優しい手を取るとほほを赤らめて立ち上がる。彼女が照れているのはアルキが割とイケメンだからだろう


「あ……あの……何かお礼を……」

 

「いえいえ、当然のことをしたまでですよ!……う〜ん……まぁそうですね……ではお礼の代わりにあなたの連絡先を教えてくれますか?つきましては今晩ゆっくりと……」

 

「テメェは何もしてねぇだろが!」

 ターキーが突然大声をだした。それが怖かったのか、女性は「ヒィ」と悲鳴をあげて逃げるようにその場から去って行ってしまった……去って行く彼女の背中を見つめる無言のアルキ。

 

「……」

 

「……おい、いつもいつもお前は!」

「ふん、アレくらいで逃げるようなオンナはダメだな」

「お前のせいで俺はいつまで経っても、ぼっちだぞ!」

「バカが!人のせいにするな!オレがいないとオンナ一人も守れないような奴は、一生独身だ!文句があるならオレより強くなってみろ!」

 

「ぐっ……お前より強くって……「兎角とかく」のおかげのくせに……」


現代では「兎角とかく」と呼ばれる特殊な能力を持つ異能者が存在する

 

 これは宇宙に存在し、地球上にも存在すると言われる暗黒物質ダークマターを「観測」することが出来た人間にのみ与えられるギフトのようなものである……と、そういわれている

 

 ターキーは「兎角とかく」を持っている……人により、さまざま能力が目覚める「兎角」だが、ターキーは「はじく」能力なのだろう。男の攻撃がいっさい届くことはなかったからだ

 

 科学が進んだ世の中で「兎角とかく」が人類にどう影響する事になるのか、地球にどのような影響を与えるのかは謎のままである

 

 これはそんな世界を生きるアルキとターキーが世界を救う物語……ではなく


 アルキの「未来の伴侶はんりょ」を探す物語

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