第2話 その男、似嵐鏡月
東京都と神奈川県の
とびきり
ネギ
家のほうは
長方形の
上空から見ると「コの字」型になっているわけだ。
その中には
この里は空からの
しだいに
「ウツロ、日が暮れるぞ」
「うん」
「腹あ、減ったな」
「うん、
アクタは手を止めて、天を
ウツロは会話をしながら、せっせとネギを引っこ抜いている。
里へと近づいてくる
そしてそれが、自分たちの育ての親・
その男は
ウツロとアクタをこれまで
さまざまな武器・
人間を
「ウツロ、お
「いまはまだ、『
「
「今日は『さしいれ』があるみたいだよ。ひとりぶんの
「おまえ、においまでわかるのか?」
「こっちはいま、
「いや、そういうことじゃなくてだな……」
『
そんな場所の状況をたちどころに言い当てる
その態度にウツロ
自分の気づかない
「どうかした?」
「なんでもねえ。ほれ、仕事仕事」
「変なの……」
ウツロとアクタがそれぞれ最後の
杉の
それは
彼こそウツロとアクタの育ての親である殺し屋・
ただでさえ
腰にはマルエージング鋼製の愛刀・
その右手には、
ウツロの
「お帰りなさいませ、お
ウツロとアクタはすぐさま
「
ウネの横いっぱいに結束されたネギの列をながめ、
同時に彼はその状況から、
「ウツロ、わしのさしいれを
「ご
ウツロはハッとした。
彼は心のどこかに、自分の成長をほめてもらいたいという願望があった。
だからアクタにも、晩の
アクタもそれに気がついていたから、あえて反対はしなかった。
しかしウツロは、この親代わりの殺し屋を前にして、
こざかしい
お
しかしどこかで、自分を否定してしまうのではないかという恐怖が
それは決壊寸前のダムの水のように、
頭が混乱する。
思考の
ウツロはひたすら
しかしそこは、いやしくも育ての親。
「よいよい、わしはほめているのだ。お前のその
ウツロはグッと
俺はなんて最低なんだ、心の底からそう思った。
俺はつくづく、最低だ。
恥ずかしい、この世に存在しているという事実が。
可能であるならば、いますぐに消えてしまいたい。
俺はこの世に、存在してはならないんだ。
彼はいよいよ、思考の
その
落ちる先は
たどり着くことのない、
「頭を上げてくれ、ウツロ。アクタもだ」
ウツロは反射的に顔を上げた。
やさしい顔で、ほほえんでいた。
「あ……」
ウツロはのどの奥から、
「ウツロ、おまえは
「う……お
アクタも
「ウツロ、アクタ。何があろうと、おまえたちはわしにとって、かけがえのない存在だ。たとえ天が
伝わってくるそのぬくもりを、二人はしばし
「よし、もう大丈夫だな。ウツロ、おまえは強い子だ。アクタ、どうかこれからも、ウツロのよき支えとなってくれ。おまえがいてこそなのだ、アクタ。
「もったいない、お言葉です……お
アクタは
思いのたけをぶつけたくなるときとてある。
それを
ウツロもアクタも、心は決意に変わっていた。
アクタはウツロを、ウツロはアクタを、絶対に守り抜く。
そしてお
「うむ、よきかな。さあ、立ってくれ二人とも。今夜はうまい飯を手に入れてきたのだ。
「はい、お
気を使って先に立ちあがる師に、二人は
「ウツロのやつ、さっきから腹ぁ減ったって、グーグーいわしてたんですよ? お
「なっ、それはおまえだろ、アクタ!」
「お
「アクタっ、
こんなふうに、アクタはウツロをからかってみせた。
「ははは、本当に仲がよいなあ、お前たちは」
「よくないです!」
ふくれっつらをしてのにぎやかなやり取りに、
(『第3話 ウツロ、その決意』へ続く)
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