夏の妖精

衣純糖度

夏の妖精


流れゆく額の汗が規定量超えて爆誕 夏の妖精



退職日着ていた服を干し泣く人 早く乾けと陽射しを落とす


食べ終えた西瓜の端が赤すぎる 然る理由から貴方から去る


水飛沫キラキラ跳ねて静まった 川に流れる子と並走


屋上で透明になる練習をしていた彼に羽を与える


プール底潜れば貴方は蘇る 見つめるたびに息ができない


お祭りに行く友達がいませんと言えぬ子供の一夜の親友


波際の幻として千年 明日から貴方の横で永遠


線香の煙見つめる祖母一人 風鈴の音あげるから泣くな


参考書 赤本テスト 単語帳 夏の文庫本 よし参考書


薄暗い部屋で冷えてるだけの涙 PTP包装シートの山


窓辺にて青空の青が青すぎて 彩度を再度取り戻す朝



サイダーとソーダとラムネの違いとは モラトリアム熱帯夜の談義


あの天体の深海で泳ぎたい 君の膝裏に触れたい 今


木漏れ日が射しこむ緑のなか独り 輪を潜り抜け生きるため逝く


抱きしめた幽霊の肩 ポトリ落ち 塩の浄化で夜空に昇華


アイスを愛する貴方の熱さ 蕩けたあたしの数多を渡す


夏の日に僕を例えた恋人の盗作を知る夏虫の僕


病室の僕に聞かせて夏のこと 幾億もありがとう妖精


口ずさむ「真夏のピーク」聞こえたよ 妖精は消えるまた来年


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夏の妖精 衣純糖度 @yurenai77

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