第七十九話 オプレイン星
結局あの後、荷物を受け取ってオプレイン星のクウナ港まで何事もなく着艦。
久しぶりに、何もない平和な時を過ごしていた。
「フェティちゃんは、セリグさんと一緒になら何処でも出かけて大丈夫ッス。ここは機械惑星程厳しくはない筈っス」
響がそういうと、モブも頷いた。
「といっても、用事は八百屋に果物運んで終わりだけどな」
台車に衝撃吸収用のクッションを敷き詰めたモノに大量に果物の箱を乗せた。
台車と言っても車輪ではなく、半重力で地面からは浮いている。
下からの衝撃は無くても揺れや何かにぶつかった時の為に、念には念をいれてだ。
昔、響がずっこけて品物をダメにしてから車輪はダメだと奮発して買った。
「響にゃ悪いが、メンバー以外の眼の前でセブンスを使う訳にゃいかないんでな。自由が無く、あらゆる連中に追われるのと力仕事どっちがマシかって話だ」と笑いながら肩を竦める。
「という訳でシャリーちゃんも、一緒に運んで欲しいッス」
そういって、初仕事っスよと響も笑う。
フランも大丈夫か?と声をかけ、フェティとセリグも頑張って下さいと笑った。
「うん♪」元気よくシャリーが返事をし、台車をゆっくりと二人の後をついて押していく。
港からしばらく行くと、指定された倉庫があったので管理人に話し。台車でプレクスと倉庫を往復。最期に、完了の印鑑を貰った。
「よし、じゃこの書類を機械惑星のギルドに渡して金を貰って終了だ!」
三人が汗を流しながら、台車から倉庫へ積み上げているのをフランが優しい眼でずっと見守っていて。傭兵なのに、あんな穏やかな人が居るんだなと管理人が言うとモブが変な笑いを浮かべていたのが印象的だった。
街にでていた、セリグとフェティも充実した散策が出来た様だ。
そんな訳で、大満足のプレクス一行は踵を返して機械惑星に再び向かった。
宇宙空間で移動中、約束通りシャリーの初仕事完了記念パーティと称してパーティーを開いて全員でお祝いした。
その際、モブがゲームに負けて。楽しみにしていたモンブランを、シャリーに譲ってしまう事になる。響は指を指して笑い、フランも酒をラッパ飲みしながら、指を指してそれを笑った。
明るい雰囲気の艦内に、アンリクレズが無慈悲な一言をぶっかけて途端に表情が引き締まる。
「響様、報告があります。目的地機械惑星付近で交戦中、このままの航路を取りますと交戦ど真ん中に突入します。至急、進路変更を進言」
響とモブがあんだって?と言った顔でレーダーを見ると、絵の具をぶちまけた様にあっちこっちで爆発しているのが判る。
「ちょっとまてよ、一日でこうなるっておかしくね?」フランが叫ぶが、二人はそれどころじゃない。
「一度、宇宙空間で緊急停止。様子をみるぞ」
「そうっスね、ヤバい時ほど立ち止まる。基本ッス」
フェティとセリグも、同じレーダーを見て。
(軍程ではないですが、かなり高性能ですね)
「幸いな事に荷物下ろした帰りだから、俺たちは空手だ」
「燃料も、食料も、今回はばっちりッス」
そこで、フランも「悪い、ちょっと酒飛ばしてくるわ」といって風呂に行ってしまった。
それぞれが、きわめて冷静に気持ちを整える。
震える、フェティにシャリーが手をのせて「大丈夫、プレクスだもん」といって安心させようとした。
「そうですね」とセリグもフェティの左手に手をのせた。
「クレズさん、悪いっスけど流れ弾来たら防ぐなり避けるなりして欲しいッス。ちょっくら情報収集をするんで、そっちに注力したいッス」
「お任せ下さい」
「ほんじゃ俺も、コクピットに座って様子見と行きますか。セリグさん、悪いけどフェティちゃんとシャリーの事任せる」
頼んだと笑うモブ、無言で頭を下げ二人の手を引いて部屋に消えていくセリグ。
「くっそー、折角のパーティでの気分が台無しだ」
「やり直しを要求したいッス」
調べ物をしながら、響も愚痴った。
「俺の、ゲームの負けもな!」
「そっちは、ぶっちゃけどうでもいいッス」
そういうと、響が判っている情報をモニターに出した。
「んで、これが今判った事か?ってか相変わらず仕事がはえーな」
「どっかのゲームに負けた、ハードウェア組み立ててる人が凄腕っスからね」
一言余計だよっていいながらも、表情は真剣なまま二人が分析を見た。
「どうやら、機械惑星の警備の厚さを知らねぇ。調子こいた盗賊ギルドの連中のはねっかえりが、強化機械兵や大型軍艦に囲まれてバックレる事が出来ず。徹底抗戦でドンパチやってやがんな~、なんて迷惑な」
「まぁ、そのうちすり潰されるっスよ。しばらく、少し離れた位置に戻って様子見してれば良さそうっス」
そういって、艦内放送でセリグやフランに連絡をいれると。ゆっくり方向転換して、オプレイン星方面にほんの少しだけ戻る。
「機械惑星の直径が三百六十km以上ある事を考えれば、超大型軍艦でも包囲されたら怪しいぜ」「殆ど兵器そのものが、星の形してるだけって感じっス」
二人で溜息をつきながら、また経費嵩むなこりゃと二人で頭を抱えた。
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