「なぜ、このような状況になっているかというと、衆院議長が議場内の議員のみで採決に及ぼうとしたためです。議場内にはバリケードを築くために野党議員のほとんどが出てしまっていることに気づいた議長がそのような動きに出たという情報が入っています。と言いますのも、衆議院で再可決が必要な得票数は三分の二以上の賛成なのですが、それは総議員ではなく出席議員、なんですね。つまり、今衆議院議場内には野党議員がほとんど残っておらず与党議員しかいない状況になっており、可決の条件は満たされているわけです。そこで議長は野党議員が戻る前に強行採決に打って出たというわけなんです。

　そしてこのことを聞きつけた野党議員たちが慌てて戻ろうとしたところ、与党議員たちと自分たちで築いたバリケードに阻まれて中に入れないという状況になっているわけです」

　カメラの脇で殴り合いの乱闘を見ながら小波渡記者が淡々と説明し、「以上、国会議事堂から中継でした」と締め括った。

（続く）