第25話 おでん、勘違いだ
おでんは、自分の体に戻ってきたときに知っている顔が見えた。
おでん【あれ?ギルマスとマリーがいる。どうして?】
しかし、おでんが体に意識を戻した瞬間、意識が遠のいた。
どのくらい経ったのだろうか。外は真っ暗だった。目を覚ますおでん。
おでん『ん?』
マリー『おでんさん!』と抱きついた。
おでん『マリー、どうしてここに?それにギルマスも。』
ギルマス『お前のスキル使用について調べに来たんだ。マリーはお前に会いたがってたから連れてきた。体調はどうだ?』
おでん『俺のスキル?体調は……最近、疲れが溜まってるせいか疲れやすくて。』
マリー『私はおでんさんがスキルを使えるなんて知らなかったわ。でももう、もうスキルは使わないで。』
おでん『???』
ムサシ『すまん。強引に使わせてしまって。で、おでん、どうだった?過去は見れたのか。』
おでん『視れました。凄まじいもので絶望しかありませんでした。』
ギルマス『おでん、お前の体調はかなり悪いと思ってる。理由は、魔力が無いのにスキルを使ってるせいだ。』
おでん『……あ~、魔力代わりに寿命を支払ってるとか…なんちゃって…。』
マリー『なんで、知ってたんですか。知ってて使ったんですか。』
おでん『……マジ?じゃあ、もうすぐ寿命?』
ムサシ『あてずっぽうで言い当てていい内容ではなかったな。お前の推測通りらしい。ルーク師匠が調べてくれたみたいだ。』
おでん『ルーク師匠って誰?』
マリー&ギルマス&ムサシ『えっ!』
ギルマス『俺のことだが…。』
おでん『ギルマスって、本名ルーク…じゃあ、ギルマスは?』
マリー『ギルドマスターの略よ。』
おでん『…し、知ってたよ。言ってみただけ。』
ギルマス【ビヨンドの言った通りだった。はあ~………。】
おでん『ルークって、まさかとは思うけど。』
ギルマス『もちろんジェ○イの騎士ルーク・スカ○ウォーカーから取った。』
おでん『……俺もそういうのにすればよかった。』
ムサシ『それで魔神を倒せるようなヒントとかは見つかったか?それとも何もわからなかったか。』
おでん『ん~………。』と考えてから、『そう言えば、勇者みたいな人が俺に向かって何かしゃべってたんだった。俺のことは見えないはずだし、過去の出来事なのに。』
ムサシ『何て言ってたんだ。』
おでん『分からん。俺のスキルは声が聞こえないし、読唇術の特技は持ってないから。いや、魔神どころじゃないんだけど。え~、俺、もうすぐ死ぬの?』
マリー『スキルを使わなければまだ大丈夫だと思うわ。ねっ、もう使わないで。』
ムサシ『なあ、おでん。確かに残念な未来かもしれなけど、その寿命を削ってスキルを使ったんだ。その成果を見出さないと。なんとか勇者が言ったことを思い出してくれ。』
おでん『……ん…を……???うーん。』と考え込んでから
おでん『ち…○…ぽ…を…な…め…ろ…?かな。』と言ったとたん、マリーの張り手で頬が痛くなった。そのあとムサシ、ギルマスから袋叩きにあった。
ムサシ『ふざけてるのか。なあ、ふざけてるのか。今、死にたいのか。地中深く埋めてやろうか。』
ギルマス『勇者がそんなこと言うわけないだろ。』
マリー『おでんさん、そういうことは二人っきりのときに言ってくれれば……。』
ムサシ&ギルマス『えっ?』
マリー『あっ!』と顔を赤くした。
おでん『え~、だから唇の動きでは、こういう動きをしてたんだよ。』と唇を動かして見せた。
ギルマス『それを信じるなら、”ん”は確実だろう。最初は”い行”か。』
おでん『”ち”?』
ムサシ『違うだろ!』
マリー『”ん”の次は、”お行”?』
おでん『”ぽ”』
ムサシ『絶対違う!』
ギルマス『倒すヒントなのか。魔神を。再生する魔神を倒すヒント…。再生の秘密なのか。』
3人は黙り込んでしまった。
おでん『なんか腹減りましたね。』
マリー『えっ、そうね。お腹空いたかも。』
ムサシ『一旦、冷静になろうか。ロトの別荘で休憩をしながら考えよう。師匠もそれでいいですか。』
ギルマス『ああ、そうしよう。』全員を連れて移動した。
おでん『スゲー、これがギルマスのスキル。』と感心した。
ロトの別荘。
全員で食事を済ませた。
おでん『少し元気出た。』
ロト『それは良かったです。』ロトはおでんの寿命のことを聞いたのだ。
おでん『ロトさん、そんなに深刻にならなくても。もうどうしようもないし、俺は前の世界で一度死んでるので、ここでの生はご褒美だと思っています。』
マリー『そんな…。』
ムサシ『本音は?』
おでん『死にたくない!』即答だった。
ロト『そういう気持ちがあるならまだ頑張れますね。でも再生の秘密ですか。』
ギルマス『多分な。』
ロト『唇の動きだけでですか。しかも見たのがおでんさんだけ。うーん。』
ビリー『”しんぞうをさがせ”ならそれらしくていいな。』
全員『!!!』
ビリー『ん?いや、適当に言っただけだぞ。』
ムサシ『”心臓を探せ” つまり あの魔神には心臓がない。急所がどこか別の場所にあるから倒せないということか。』
おでん『それなら、”ち○ぽ”もないぞ。”ち○ぽをなめろ”ではなく”探せ”なのかも。男のシンボルを。』
ムサシ『もう”ち○ぽ”でもなんでもいい。とにかく魔神に関する何かを探すということだろう。』
おでん『”探せ”が正しければだけど。』
ロト『どこを探せばいいのでしょう。今から世界中?』
ムサシ『明日には復活する。時間はない。』
ギルマス『………おそらく、この王都内だろう。魔神をこの王都に誘導するために心臓を隠していると思う。』
ビリー『なるほど、自身の心臓を取り戻すためにか。魔族が考えそうな作戦だ。』
マリー『でも、王都と言っても広いわ。』
ムサシがおでんを見た。
マリー『! ダメよ。絶対ダメ。』
ムサシ『ああ、分かってるよ。おでん、マリーとできるだけここから離れるんだ。』
おでん『へえ、まあ、この体調では何もできそうにないな。でもご飯食べたせいか少し調子はいいけど。』
ムサシ『残念だ。過去を視られればどこに隠したか分かるんだが、ああ、残念だ。本当に残念だ。』とワザとらしく独り言を言った。
マリー『……おでんさん…。』
おでん『マリー、以前俺が言ったことを覚えてる?』
マリー『ええ。』と赤面した。キスされたあとに耳元で言ってくれたことだ。
おでん『約束は守る。ムサシさん、これが最後ですからね。で、どこから調べましょうか?』
ムサシ『いいのか。いや~、強引に誘ったようで悪いなあ。』
おでん&マリー『………。』マリーの睨んだ顔が怖い。
ギルマス『俺が魔族なら王都の最も重要な場所、城に隠すな。』
ムサシ『よし、まずは城に行こう。』
おでん『マリー、待っててくれ。』
マリー『はい。』
そして、おでんはムサシとともに城に向かった。
あの時、おでんはマリーに【今度、二人っきりで朝まで過ごそう。】と囁いたのだった。
アーレダール王『ふむ、この城に隠されてるかもしれないと。』
ムサシ『はい、その可能性が高いので、隅々まで調べたいのですが。』
アーレダール王『そんな禍々しいものがあるとは思えないのだが。』
おでん『心臓でなくてちん、ぐっ…。』ムサシがおでんの腹にエルボーアタックをしたのだ。
ムサシ『さすがに王様にその言葉はマズいぞ。』
おでん『…そうでした。なんでもないです。』
アーレダール王『ちん?……隅々か。困ったな。ビス、どう思う。』
ビス大臣『それは否ですが、魔神を倒さなければこの城というよりも王都が無くなってしまうでしょう。』
アーレダール王『分かった。お前たち2人を信じて特別に許可しよう。全ての場所への出入りを許可する。』
ムサシ『ありがとうございます。』
おでん『ございます。』
アーレダール王『おでんよ。しばし待て。おい。』と言うと女性の召使いがやってきて王様にあるものを渡した。
アーレダール王『お前が今度来た時に渡そうと思ってな。これでも食べながら頑張ってくれ。』とお菓子を渡した。
おでん『ありがとうございます。頑張ります。』
ムサシ【何気におでんってみんなに気に入られてるな。】
ムサシとおでんは、宝物庫にきた。
ムサシ『盗みませんよ。』大臣が付いてきたのだ。
おでんは、過去視スキルを使った。少なくとも200年以上前だ。怪しい人物が入った形跡はなかった。正確には怪しい人物=盗賊らしいはいたのだが、それは探している物とは違った。
おでん『ここではないようです。』
ムサシ『どうした?』
おでん『過去を視るのはいいものではないですね。見てはいけないものを見てしまうことになります。』
ビス大臣『………。』
ムサシ『まあ、光あれば影ありだ。次行こう。』
おでん『ムサシさん、俺がスキルを使ってる時間ってどのくらいでしたか。』
ムサシ『ん、大体1時間ほどだったかな。』と大臣を見る。
大臣は無言で頷いた。
おでん『未来と違って過去は意識を飛ばしている時間がそのまま過ぎてるのか。時間が足りないかも。』
次は、鉄格子の牢屋だった。
ムサシ『いかにもってところだろ。』
おでん『誰もいないですね。』
大臣『先日、処分しましたので。』
おでん『……あ~……そ。さて。』
おでんがスキルで過去を視て戻ってきたとき、黒い血を吐いた。
おでん『オエェェェェ。ハア、ハア。ムサシさん。もう牢屋の過去は視たくない。』
悪意の塊の場所である。過去にどういうことが行われてきたのか。それらを断片的とはいえ無数見たのだった。
その後、王様の寝室も含めてありとあらゆるところ視た。
おでん【最悪だ。王様と王女様のアレを見ることになるとは。そういう覗きの趣味はないけど、こっちの世界にきてから禁欲生活だからある意味苦痛だ。】
もう朝になっていた。
ムサシ『城ではないのか。』
おでんは窓から見える魔神像を眺めながら『日の入りがタイムリミットです。…というか、ムサシさんとギルマスが魔神と戦う姿が視えました。つまり、それまでは見つけれないということですね。』
ムサシ『そうか。いよいよか。』
大臣『もうよろしいのでしょうか。』
ムサシ『ああ、監視ご苦労さん。俺たちは、他を探すよ。』
大臣『分かりました。ちなみに次はどこを探すつもりですか。』
ムサシ『どうしようかな。』
おでん『異世界の定番と言えば……下水路?』
ムサシ『! それだ。』
大臣『分かりました。少々お待ちください。』大臣が立ち去った。
おでん『モグモグ。ムサシさんも食べる?このお菓子美味しいよ。』
ムサシ『いや、この状況でよく食べれるよな。血も吐いてるのに。』【図太すぎる。】
おでん『まあ、なるようにしかならないから。』
ムサシ『お前のスキルでは、魔神との戦いで俺はどうなる?』
おでん『ああ、分かりません。』
ムサシ『どんな結果でも覚悟はしている。教えてくれ。』
おでん『だから、分かりません。なぜか途中から真っ暗になって視えないんです。こんなことは今までなかったので。まあ、魔神が強すぎて俺のスキルが通じないのかもしれません。』これは本当のことだった。未来が真っ暗で視えないのだった。
ムサシ『そうか。やっぱりお菓子貰おうか。モグモグ。』
朝日を浴びながらお菓子を食べる大人2人だった。
スキル名:未来視?
Level :6
消費魔力:20
有効範囲:目視できる範囲の1点を中心に半径5m
使用回数:40回(クールタイム半日)⇒(NEW)無制限
視る未来:現在から最大1日
使用時間:(NEW)0秒(高速演算処理可能)
備考 :確定未来(変更不可)
部分的な切り取りOK
スキル名:過去視(派生スキル)
消費魔力:-5~-50
有効範囲:本体を中心に見える範囲内全て
使用回数:無制限
視る過去:制限無し
使用時間:同時間経過(無防備状態)
振分PP:10p
振分SP:10p
従魔:タマ
種族:不明
能力:Level1(魔力無効化)
Level2(対スキル無効化)
性格:開放的?(おでん似?)
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