如月さん、拾いましたっ!

霜月

1話 粗大ゴミだからってなんでもかんでも持って帰っていいわけじゃない!

 世の中は目まぐるしく変化し、新しいモノを生む。そしてまだ使えるモノも、少し修理すればまだまだ使えるモノも捨てられていく。



 粗大ゴミ、不燃ゴミ。佐野卯月さのうづき14歳。私はこの回収日をいつも楽しみにいる。何故ならたくさんのお宝が眠っているからだ。



 ※勝手に持って帰ってはいけません!



 今日は爽やかな風が吹き抜け、気持ちの良い天気だ。雲ひとつ見当たらない。歩きながら空を見上げ、中学校へ向かう。

 立ち話が耳に入る。


「ねぇ聞いてよ、明太子公園めんたいここうえんの入り口の側に粗大ゴミが置いてあったのよ~~」

「公園の側に捨てるってどうなの?」


 今日は粗大ゴミの回収があるらしい。近所に住む、噂好きなおばさまたちが何か話している。私としては、これは気になる。

 少し不審に思うだろうか。電柱の影に隠れ、聞き耳を立てることにした。


「それもね、アレは捨てちゃダメだと思うの。流石に回収できないと思うわ~~」

「むしろ通報した方がいいんじゃないの?」


(何が捨てられているんだ?)


 気になる気になる気になる気になる気になる気になる超気になる。

 中学校へ向かうはずだった足は、気になり過ぎて、いつの間にか明太子公園へと向かっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る