私はあなたの母ではありませんよ
れもんぴーる
第1話 プロローグ
「お母様! 私です、ユマです!」
私は、柵の向こう側にいるお母様に一生懸命呼びかけた。
少し離れたところにいるお母様にやっと声が届き、こちらを振り向いてくれた。
気がついてくれたことが嬉しくて、思わず笑顔になって大きく手を振った。
それなのに……側にいたメイドから何かを耳打ちされたお母さまは眉を顰め、汚い者でも見るような目で私を見た。そして小さな男の子を慌てて抱えた母は二人の護衛に守られるようにして屋敷の方へと戻っていった。
「お母様?! 行かないで! 許して! ユマよ‼ お母様なのでしょう⁈ ねえってば!!」
昔お母様をひどく傷つけた私の必至の訴えにお母様は振り向くことはなかった。
過ぎたる日、愚かな私はお母様に冷たくし、ひどい態度をとっていた。そんな私の事などもう娘などと思いたくないのだろう。
今、どれだけひどく後悔して反省して、どんなにお母さまの事を愛してももうお母様は振り向いてくださらなかった。
高位貴族の屋敷でこんな騒ぎを起こした私は駆けつけてきた騎士に捕まったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます