波乱のweb面接と未来への第一歩

O.K

第1話:運命のひとり旅

主人公、田中雅人は、最近新しい仕事を探していた。リモートワークが広がる中、彼は自分のスキルを活かせる企業に応募することにした。応募した企業の名前は「未来テクノロジーズ」。ここでの職務は、彼の夢だったソフトウェアエンジニアだった。だが、応募者が少ないため、企業側もあまり期待していない様子だった。


雅人は、この企業に応募してから数日後、突然メールが届いた。「未来テクノロジーズ様から面接のご案内」という件名を見て、彼は興奮と不安で胸が高鳴った。初めてのweb面接だったため、彼は何を準備すればいいのかわからなかったが、とにかくベストを尽くそうと決意した。


面接当日、雅人は早めにパソコンの前に座り、webカメラとマイクをチェックした。インターネット接続も問題なかったので、安心して面接の開始を待った。しかし、面接が始まると、さっそく問題が発生した。


最初に起こった事故は、カメラの位置がずれてしまったことだった。雅人の顔が半分しか映らず、面接官から「もう少しカメラを調整してもらえますか?」と言われた。彼は慌ててカメラを調整しようとしたが、逆にもっとひどい位置になってしまった。最終的には、カメラが突然オフになり、彼の姿が見えなくなった。


次に起こったのは、音声トラブルだった。雅人が話し始めると、面接官の顔が不満そうに曇った。「すみませんが、あなたの声が途切れ途切れで聞こえます。もう一度話してもらえますか?」雅人は深呼吸してから再度話し始めたが、今度はマイクが完全に無音になってしまった。パニックになった彼は、設定を確認しようとしたが、何をどうすればいいのかわからず、結局パソコンを再起動することにした。


再起動が完了すると、雅人は急いで面接に戻ったが、今度は背景に問題があった。彼の部屋の後ろには、散らかった洗濯物や乱雑な書類が映り込んでいた。面接官は驚いた表情を隠せなかったが、雅人は必死に冷静を装い、背景を整える時間もないまま面接を続けた。


さらに、途中で雅人の猫が突然画面に飛び込んできた。猫はキーボードの上に座り込み、雅人の手元を邪魔し始めた。雅人は必死で猫を抱きかかえながら話を続けたが、猫はしつこく抵抗し、カメラに向かってミャーミャー鳴き続けた。


そんな混乱の中、面接がようやく終了した。雅人は汗だくで疲れ果てていた。面接官たちも疲れた表情で、「ありがとうございました。後日、結果をご連絡します」と言って画面を閉じた。


数日後、雅人は再び「未来テクノロジーズ」からのメールを受け取った。開封すると、「おめでとうございます。採用決定のお知らせ」と書かれていた。彼は驚きと喜びが入り混じった気持ちで、すぐに電話で確認することにした。


「すみません、本当に採用されたのですか?」雅人は不安げに質問した。


電話の向こうからは、やや緊張した声で「はい、田中さん。実は応募者が田中さんお一人だったため、他に選択肢がなかったのです。ですが、あなたの技術的スキルや情熱を評価していますので、心配しないでください」と返答があった。


雅人は驚きながらも、運命のように感じた。web面接での数々のトラブルにもかかわらず、彼は新しい仕事を手に入れたのだった。彼はこれから始まる新しい挑戦に胸を躍らせながら、未来テクノロジーズでのキャリアをスタートさせることに決めた。

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