第3話 アルバイト初日

その日、私は初めて店番を任された。


と言っても綺羅君と一緒に、だが。


「じゃ、綺羅、美緒、留守番頼んだぞ。

俺は凛と一緒に少し出てくるから。」


咲夜さんはそう言って凛さんを連れて去っていった。


「さぁ、美緒さん、頑張りましょう!」


綺羅君が言う。


「うん!

まずは、何をすれば良い!?」


「うーん、じゃあ、店の暖簾を出して、入り口を掃いてもらいましょうかね!」


綺羅君が言う。


「分かったわ!

任せて!」


とりあえずは金貨30枚分働かなければならないのだ。

頑張るしか無い。


私は暖簾を掛けて、入り口を掃いた。


「もう、良いですよぉ!

それよりも、教えたい事がありますから、中に入ってくださーい!」


綺羅君が私を呼んだ。


「うん、なぁに?」


私は塵取りと箒を仕舞いながら言う。


「美緒さんは、書店で働いた事はありますかぁ?」


「ううん、全然無いわ。」


「本にはですねぇ、ジャンルという物があります。

大体の書店はそのジャンル毎に並べてあるはずですぅ。」


綺羅君は説明する。


「そうなんだね。

どんなジャンルがあるの?」


「ジャンルの分け方も書店によって様々なんですけどぉ、僕たちの狐光書店では、9つのジャンルに分けています。


1、文学・小説

2、社会・ビジネス

3、旅行・地図

4、趣味

5、実用・教育

6、アート・教養・エンタメ

7、辞典・図鑑

8、こども

9、コミック・雑誌


ですぅ。


で、ですね?

それぞれの書物は、うちの書店では色分けされているんですぅ。」


綺羅君の説明は続く。


「色分け?

どんな風に?」


「例えば、文学・小説は青の表紙、とかですね。

趣味は紫の表紙の奴がそうですぅ。」


「なるほどー!

こどもの絵本なんかが桃色ねっ!


あれ?

でも待って…


赤色の本と黒色の本がなく無い?」


私はふと疑問に思った。


「ギクっ!


く、く、黒と赤は縁起が悪いですからっ!」


なんだか綺羅君は焦っているように見える。


「そ、そう?

別にいいけど…」


「じゃあ、今日はこどもの絵本について代表作を紹介しますねぇ。


一つ目は『龍王の姫』。

これは、あやかしの龍王が人間界のお姫様に恋に落ちてしまうというお話ですぅ。

でも、結末はお互い離れ離れになるんですけどねぇ。


二つ目は『天狗と狐の知恵比べ』。

その名の通り天狗と狐が知恵比べします。

最後は猫又に騙されて2人とも痛い目を見るというコメディですぅ。


三つ目は『鬼の恩返し』。

お爺さんとおばあさんに育てられた鬼が恩返しするお話ですぅ。

そのままですねっ!」


綺羅君が説明する。


その時、咲夜さんと凛さんが丁度帰ってきた。

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