第54話 先進都市フリーダム

ネックスが居るので、もちろん、俺たちは顔パスでフリーダムに入った。


びっくりしたのは、フリーダムの街を路面蒸気機関車が走っているという事だった。


「路面蒸気機関車は街を一周するから、乗っていこうぜ。」


ネックスが言い、走る路面蒸気機関車に飛び乗った。


うぇぇ!

飛び乗るんかーい!


俺も急いで飛び乗る。


フリーダムはかなりの先進都市であり、都市を通る大きな川には蒸気船が走り、橋は閉開式のようだ。


「あれ!

どうやってるんだ!?


閉開式の橋!」


俺は興奮気味に尋ねる。


「魔法動力によって閉開してるだけさ。

フリーダムには、都市の中央に魔動力の核がある。

それで、鋼の塀に魔法電流を流したり、各施設に魔力を供給している。」


「へぇー…」


俺はそれ以上何も言えなかった。


「街はポリスマンによって治安が守られている。

ギルドは実は俺の街には無いんだ。」


ネックスは説明する。


「なんだか、ギラギラしてるけど、今通ってる地区の名前は?」


「"ブロードウェイ"さ。

俳優たちが居て、毎日のように幾多ものミュージカルが開催されている。

夢の街だからな。

アメリカは。」


「へぇー!

おぉ、ここは!?

農業地帯か!?」


俺の都市は農業都市なだけに、農業地帯には興奮せざるおえない。


「そうだ。

アメリカの小麦地帯を模している。

金山も向こうにはあるけどな。

ここは、エイト、お前の都市の方が発達していると思うぞ。」


ネックスは言う。


たしかにフリーダムの農業地帯は、原始的な農業地帯みたいだ。


「この地区は?」


「都市の中心、名付けて"ニューヨーク"だ。

武器・防具、ドレスなどの洋服、本屋、そして、ファストフード店がある。

まぁ、他にも色々あるが…」


「すっげぇぇぇ!」


俺は思わず叫ぶ。


「そろそろ、終点だ。

そこでだ、エイト。

お互いの街の長所を分かち合わないか?」


「…というと?」


俺。


「俺はお前に魔動力の核の作り方を教える。

その代わり、農地の改革の方法を教えてくれないか?」


ネックスは言う。


俺は少し悩んだ。


農地改革の方法とは、つまり、特殊な種を分け与えるという事になると思うが…


しかし、魔動力の核は大きいぞ!?


「うーん、分かったよ。

お互いの都市の生産性を高めるべきだと思う。


明日、俺の都市に見学に来てくれ。」


そうして、フリーダムを後にした。


いやぁ、すごい都市だったなぁ。

普通に全面戦争になっていたら、完璧に負けていたぞ?


「すごかったですねぇ。

先進都市という意味では、Earthの3倍ぐらいですかね?」


カイも言う。


「そうだな。

でも、俺たちにはエブリファームという最強の農園がある。

決して負けてばかりは無いはずだ。」

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