第16話 変な種再び…!

この農業都市に足りない物…

















それは、きっと宿屋だ!


遠くから訪れる人の中には徒歩で来る人も少なくない。

そこで、往復10時間というのは流石にきつい物がある。

では、片道5時間で、一、二泊していけたならば、どうだろうか?


お客は劇的に増える筈だ。


だが、しかし…

シャロン、セスやカイに農作業を任せ、採れた野菜を売りに行ってもらっているものの、宿屋を建てるお金にはまだまだならなかった。


このままでは、カレー店が先に潰れてしまうのでは無いだろうか?


とりあえず、イライザの街でコックのイールさんとミナの延長契約だけをして、俺は屋敷の2階の書斎で考え込んだ。


ふと、思った。

新しい種は出来て無いのか?と。


リアーナに尋ねに行くと、「それがぁ…最近変な種が採れるのよぉ…」との事だった。


種を入れた袋をリアーナが部屋から持ってきた。


一つの袋には小石のような物が入っている。


「これ、小石だろ?」


「いいえ、種よ。

四角にんじんのそばに落ちてたから、間違い無いわ。」


「つまり、小石の種ってこと?」


「こっちはもっと変わってるわよぉ。

ほらぁ。」


見ると、三日月形の種と炎の種が入っていた。


「うーん…

たしかに見たことも無い種だなぁ…」


「でしょぉ?」


「明日畑を一面借りて植えてみよう。

貰ってっていいかな?

この種?」


「もちろんよぉ!」


そんな訳で、その日はみんなで夜ご飯を食べていつも通り眠りについた。

















次の日、俺は種を撒くことにした。


とりあえず、三日月の種と小石の種、炎の種と小石の種という組み合わせで蒔いていき、残った小石の種は3つずつ適当に蒔いてみた。


土に手を当て、植物スキルを発動した。


すると…


月の光のように輝く石と、炎を灯した石、そして、大理石が成ったのだ!


これは…ミニルナティックストーンと、ミニファイアストーン、大理石だ!


「えぇぇぇぇぇ!?

石まで成るんですかぁ!?」


カイが驚きの声を上げる。


「いや、俺もびっくりして…」


とりあえずカイと一緒に収穫し、俺は袋に入れて、イライザの街の道具屋に売りに行ってみた。


すると…


「これは…!?

ルナティックストーンとファイアストーンじゃあないか!

小さいが、質はかなり良さそうだ!


大理石も見事だ!」


道具屋の主人は言う。


「…いくらぐらいになる?」


「そうだなぁ…

まぁ、10万ゴールドでどうだい?」


俺は破格の値段にびっくりしたが、すぐに売った。


そうか、成るのは植物だけじゃ無いんだ!


植物スキルというスキルからは離れているかも知れないけれど…

種から成れば、全部植物だ!

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