第14話 閑古鳥が鳴く
それから、3日間、カレーライス店でイールさんにはカレーの作り方をマスターしてもらい、ミナにはサラダを中心にドリンクの用意などを覚えてもらった。
元々がコックとウェイトレスなだけに2人の物覚えはかなり良く、3日後にカレーライス店をオープンするまでに間に合った。
メニューは…
カレーライス
野菜たくさんカレー
牛肉とナスのカレー
アボカドと海老カレー
フルーツトロピカルカレー
チキンカレー
イワシカレー
豚しゃぶカレー
豆とトマトカレー
カレードリア
だった。
一応、屋敷と畑のあるエブリファーム区はハイペリオンの木の塀で囲まれているが、カレーライス店があるメニーストア区は塀も何もない丸裸の土地なので、リアーナに警護についてもらう事にした。
しかし、流石にチラシでも撒かなければお客は来ないだろうな。
そう思いながら、オープンの日を迎えた。
案の定だーれも来なかった。
「はは…
これは食いっぱぐれるなぁ…」
イールさんはカレーライスに自信があっただけに落胆し、ミナも肩を落とした。
そこで、俺、セス、カイ、シャロンでイライザの街と王都リナナにチラシを配りに行く事にした。
一応チラシにカレーライス店の大体の地図は載せたが、あまりにも遠すぎて、また誰も来ないかもしれない…
そんなことを心配しながらも、合わせて200枚ほどのチラシをばら撒き、辺境の屋敷に戻った。
そうして、次の日、相変わらず俺は心配なのでカレー店に顔を出していた。
「来ませんねぇ…」
イールさん。
「ミナ、退屈っ!」
それはそうだ、じっと客席に座ってもう3時間ほど客を待ち続けているだけなのだから。
しかし、その時!
カランカランとカレー店のドアにつけた鐘が鳴る音がした!
イールさんはコック帽を急いで被り、ミナはエプロンをつけた。
俺はお客様を出迎える。
「あなたは…!?」
そう、見覚えのあるその人は、有名貴族アイリー=ガロラス、ガロラス家のご令嬢だった。
貴族だった頃何度か舞踏会で見かけた事があった。
「あら…?
あなたは確か…
サルバコス家の…?」
アイリーさんも俺のことを覚えていたらしく、そう言った。
「もう、勘当されていますから、サルバコス家ではありませんがね…ははっ…
でも、どうしてあなたの様な貴族がこんな僻地へ?」
俺は尋ねる。
「私は、将来ガロラス家を継ぐ為、レストランをみて回っててよ。
だって、ガロラス家の大きな収入はレストラン経営ですものね。
勉強のためですわ。」
アイリーさんは言った。
「それは…恐縮です…
さぁ、どうぞ。」
俺は1番奥の席にご案内した。
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