第21話

 邪悪アトロ

 寄生虫のようなそれは、生き物の命を奪って体に憑りつく。

 姿が変化したり、生前の欲に溺れたりするが、詳細は不明である。


「ハァ!」


 アナスタシアは最後の一匹となる異形なネズミを切り倒した。

 死体から黒い塵が霧散していく。

 これが邪悪アトロの末路だ。


「ネズミの邪悪でしたね」


 メトが死体のそばにしゃがみ込んだ。

 ネズミにしては長すぎる首。

 それを伸縮させて攻撃を仕掛けて来た。

 邪悪による肉体の変化というやつだ。


「ここらではネズミが木の根元に穴を開けて巣を作るんです。首が伸びたのは高いところにある果実を食べるためかと」


 冷静な分析をみせるメト。

 しかし、その表情には悔しさが滲んでいた。

 

(剣聖様にいい所を見せたかったのに……)


 一方のアナスタシアは、非常にテンパっていた。

 助けた女性に詰め寄られているのだ。


「助けていただいてありがとうございます。その黒色の鎧……、間違いありません。あなたはタタスタタタスタタン様ですね!!ああ、いつかお会いしたいと思っておりました。まさかこんな所で出会うなんて。それに命まで助けていただいて……。なんという幸運!これもまた運命とでもいうのでしょうか。なんとお礼を言っていいことやらわかりませんが、言葉では言い表せないほどの最大級の感謝を――」

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