第19話

「大丈夫ですか!?」


 メトはすぐに声の主のもとへと駆け寄った。

 恐怖で顔が歪む女性。

 彼女は震える手で少年の背後を指差した。


(まずい!!)


 メトは背後の気配を察知した。

 察知した上で間に合わないと理解した。

 自分は今、攻撃されている。

 もっと早く気が付くべきだった。

 敵襲の可能性を頭に入れておくべきだった。

 周囲の警戒を続けるべきだった。

 メトは今更遅いと分かりながらも後悔の念を浮かべる。

 戦いとは一瞬の油断が命取りになる。

 剣士としての腕が良くても、メトは実戦経験が少なすぎた。

 だから負ける。

 殺される。

 

(死にたくない)


 声なき声は聞き届けられた。

 少年を襲う魔の手が寸前で切り落とされる。


「おい」

 

 怒りに満ちた低い声。

 鈍く光る刀剣に滴る緑の血。

 漆黒の鎧から漏れ出す禍々しいオーラ。


「何しやがんだ」


 烈風の剣聖がそこにいた。


 

 

 

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