第8話 信頼

―――――――――ベットの中。


「……」


向き合って咲を見つめて…頬を人差し指の第2関節で撫でた。


咲はその手を可愛く握った。


「……。」

「なに?」


咲が分かってて意地悪に聞く。


「その…可愛いです。」

「その言い方好き。ちゃんとあたしをあがめてくれてる」

「そうなるよ。だって可愛くて死にそ…。」


「…こんなに『可愛い『可愛い』言ってくれる男、あんただけだった。」

「言わねーやつが頭わりい。もったいない。なんも見てねー。…こんなに可愛くてこんなに綺麗なのに…。」


僕は咲におでこを重ねた。


「この歳でこれなかなかしてくれる人いないよ?」

「咲はいつになっても可愛い。aikoみたい。」

「似てるって昔から言ってるよね。」

「うん。似てる。歌わせたら最強。」

「顔は似てない。」

「雰囲気似てりゃ十分。」

「…あんたも変わったよね」

「なにが?」

「安定してきてる。」

「…色んな人がいて、やっと信じるって事が、こういうことかなって思えるようになったからかな?特に、咲。咲は裏表がないから。だから信じれる。」

「そんなめんどくさい生き方しない。」


「愛してるよ。咲さん。」

「あたしも。愛してる。」


僕らはずっと「愛してる」と言い合ってきた。

嘘偽りなく。その時の感情ではなく、

溢れてくるものとして伝えあっていた。


やっと、やっと、怖くなくなった。

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