Flower castle

海星

第1話 ラスボス

――――――。


「咲……。咲!!……さーきー!!…」


真っ白い空間。壁も道も廊下も何も無い。ただ、白の空間が広がる。


「……」

大きく息を吸ってまた名前を叫ぼうとすると、


「うるさい。もういい。聞こえてる。」


と、僕と同じくらいの背丈の黒髪で赤いトレーナー、黒のジーンズを履いた女の人がこっちに向かって歩いてきた。


「出たな!ラスボス!」


僕がふざけて構えると、


走って来て僕の横腹目掛けて刺す仕草をしてぶつかった。


僕がこの瞬間を逃すはずがない。


……力の限り抱きしめた。


「…苦しいか。」

「全然。」

「飽きた。」

「そりゃね。飽きるでしょ。」

「ふぁぁ……」


僕が体の力を抜いて腕を降ろすと、

咲が僕を包み込んだ。




――――――「おかえり。私のバカ犬。」



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