『助手席に死んでる』(351文字)
曇りの日だから空が白くて、遠くの山肌が青っぽくて。ここは丘だから、小高くて、背の高い草がたくさん、枯れながら生えてる。
小高いから、街がうっすら見下ろせて、風が寒くて肌が冷える。
トカレフの銃口からは、白い煙が薄くヒュラヒュラしていて、寒そうに見える。寒そうだから、車のトランクへ入れてやった。余った弾倉と一緒に入れてやった。
助手席には男が死んでるから、寂しくもないはず。
俺はここで伸びをして、ポケットからライターを取って、火つけてから、シートへ放り込んだ。
白い火柱がゆらゆらして、黒い煙がどんどん上がっていっては、空と、隙間からの白い日差しに食われていく。
人の焼けるにおいにカラスが集まってきて、煙の上がる黒い車の周りを取り囲んだ。
あいつらも寒かったんだなあ。とか思いながら、三十秒くらいそれを眺めてた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます