第20話 アステリオスアカデミー
学校までの道のりは約半日――
家を出てからニ時間歩き続け、やっと町の近くの駅に辿り着き汽車に乗った。十時間乗り続ければ王都に着く。
異世界の汽車に乗るのは初めてだが心地は悪くはなかった。これなら十時間も余裕そうだ! 汽車の窓を少しだけ開けて見る景色は辺り一面が草原で、風と共に流れてくる緑の匂いに心が安らいだ。
僕の向かう先――それはルピナス王国の都市、王都にある『アステリオスアカデミー』
前世の世界でいう専門学校だ。
元々ルピナス王国は、平和で戦争もなく暮らしやすい国だが、中でも王都は特に富に恵まれており、金持ちの貴族や王族が暮らしていいる大都市だ。
日本で言うと東京といったところだろう。いや、それ以上かもしれない。人口も多く経済も回りやすい場所はいつも賑わっていると聞く。
そして大都市王都にある『アステリオスアカデミー』は主に実力での入学だが、貴族のような金持ちは金を出せば入学できるということもアレクから聞いた。
どの世界でもこれが現実だ。異世界だから全て正しく、自分に都合がいいとも限らないということだ。
ルピナス王国の実力者達が集まる学校……いったいどんな人達がいるんだろうか――緊張と不安で落ち着かない。
僕は学校が嫌いだった。それは今も変わらない、だがこの世界に来て家族と出会いアレクと出会い、僕の気持ちは少しいい方向に変わった気がする。人と会ってみたい話してみたい、もしかしたら僕と同じ転生者がいるかもしれない、そんな期待を抱くようになった。
汽車を降りた先はルピナス駅という大きい駅だ、汽車が沢山並んでいる。そして駅から十分ほど歩いて見えてきたのは……
僕の通うアカデミー。
学校だ!
(でかいな! というか敷地広!)
パッと見るだけで東京ドーム六個分はあるだろう。
敷地は石の壁で囲まれていて、上から見えるのはまるでシンデレラ城のように大きく綺麗なクリーム色の校舎だ。学校の入り口には大きく黒い金属フェンスの門がある。
敷地に入る前に僕は一度足を止めた。
今、僕の前に立ちはだかる壁。
それは大きく黒い金属フェンスの門のことではない『学校』と言う壁だ。
(大丈夫だ。よしっ!)
勇気を振り絞り、足を一本踏み出した――
辺りを見渡しながら僕は前に進んだ。
一歩踏み出す勇気は、思ってた以上に簡単なことだった。
更に歩き前へ進み、遂に校舎に入った。
……人が多いな人酔いしそうだ。周りを見ると色んな髪色の人がいる。
尻尾が付いてる! 獣人族がいる! すごい!
「ん? あれは……黒い角って……?」
「あれは魔族だよ」
突然後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返るとそこにいたのは…………
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