第10話 神の力

――説明ってなんのことだよ……


「この国で成人を迎えると神から力を授かる。それを神力という。

それはお前だけでなく、成人迎えた皆んながもらう物だ。剣術も魔術も武闘もそうだ、皆んなが授かる。

そしてお前には風がついた。土、水、火他にも何種類もの神力がある。風の神力はとてつもなく強い。これは誇れることなんだよ。あの最強の男エレイン・ウィル・ルピナスも風の魔術を使っていたと言われているんだぞ」


「そんな……でも……」

「そうだな。一つ予想外なことが起きた。

 ――それはお前の神力の量だ。ここまで神力を授かった人間は正直見たことがない。だか、あり得ないことじゃないんだよ。皆んな神力の量が違うんだ。それによってお前の将来も決まる。お前の将来は有望だ、でも安心するな。その力は神の力、決して間違った方法で使うな。正しく感謝の気持ちを持って使うんだ、いいな?」


「はい……パパ……」

「ん?」

「あ、OKダディ」

「よろしい!」

「エーデル! あなた凄いわ。驚いたけど、とても誇らしいことなのよ」

「私も早く13歳になりたーい」


 家族の予想外の反応に僕は驚いた。僕を励まそうとしてくれているんだな……。かなり驚かせてしまったようだ。

 クラウスは腰を痛めはしたが――大事に至らなくてよかった……もし人殺しになってしまったら――そう思うと恐ろしいなんてものじゃない。

 本当に恐ろしい力だ……神力。これは慎重に扱わなければいけないな。


「いやー、にしても強すぎるな。これはもう俺の手には負えん」

「え? それじゃあ、どうすれば……」

 この力の制御ができないと困る。このままじゃ僕は本当に人殺しになってしまう。

「そんなこともあろうかと――凄腕の師匠に頼んでおいたんだ」

「それは誰?」

「この間酒場で偶然そしたら、是非とも息子さんに剣術を教えたいって……あ、アルメリア惚れるなよ?」

「えー? 王子様なの?」

「少し違うな、でも男の俺が見てもかっこよかった。

 あれは美男子だ。名前は確か――アレス・ブルータル」

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