第2話 ◇ 夫の好きな女性 2
そんなふうな考えを持って帰宅。
夫ともう一度話し合うつもりでダイニングのテーブルで向き合うも、
先手必勝のごとく宣言されてしまう。
「申し訳ないけど、彼女のことだけを考えたい。
君のことは考えられないような状況だから早く離婚してほしい。
身勝手なのは重々
自分だということも分かってる。
だけどこの気持ちはどうしようもないんだ。
苦しいほどに彼女が好き過ぎて」
「二人の間にまだ何もないって言うけどほんとはもうあなた、
彼女とデキてるんじゃないの?」
「いや、それはない。
まだ自分の気持ちすら彼女には伝えてないからね。
身辺調査してもらって構わない。
家と預貯金全部君に渡すから頼むよ」
「分かった。
もう少し時間ください。
前向きに考えるから」
「ごめん……すまない」
『君のことは考えられないウンヌン』と夫が言ったので
『私を愛人に……』という話は結局しそびれてしまった。
人が聞いたら笑いものもいいとこよね。
私って馬鹿。
◇ ◇ ◇ ◇
しばらくして、貴理子は夫から離婚を迫られていると共通の友人に
相談したところ、夫と同業の友人の旦那さんから心当たりがあると
連絡があり正義の想い人の勤める会社へ貴理子はお客として出向き、
女性の様子を見ることになった。
貴理子の見た彼の女性は想像以上にきれいで魅力的な女性だった。
行くんじゃなかった。
見るのではなかった。
見てしまったことを貴理子はひどく後悔した。
彼女が相手ではとてもたちうちできないと思い、ごねたりしながら
の話し合いで離婚を引き延ばしても、もうどうしようもないという心境に
なれたことで、貴理子は円満に離婚を決意。
―――――――――――――
そして夫の望み通りの条件で離婚に合意した。
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