第8話 一言二言

『あの、そのアイコンはもしかして…。サイトの優秀作品に選ばれてませんか?』

グループLINEの最初の発言はこれだ。好奇心にステータス全振りしているだけある。

『たぶんそれ僕です…』

そのメッセージを見た時、手とか全部震えていたと思う。

『ファンです(お気に入りのインポート欄にいますの写真)』

普通にキモい。

『(スタンプ)』

そのスタンプは、私が大好きなポッドキャストの、グッズだった。

マイナーというわけではないのだが、何せターゲット層がおっさんで。

LINEのステータスメッセージにも、インスタグラムの自己紹介にも、口頭でも、何度も言ってきたが、同士は見つからなかった。

なのに、ここで。


「こいつグループワークで自分以外全員女子で全く喋れないらしい」

文芸部に居候している、居候先輩は、ヘッドホン先輩を指さす。

「いや男子三人、女子二人だけど」

ヘッドホン先輩はその言葉を訂正した。

「全然違うじゃないですか」

「あれ~?あ、仮グループの時の話か」

「混ざってるよ」

そうして終わろうとした会話に、私はツッコミを入れる。

「そうじゃないと説明がつかないぐらい喋ってないってことですか?」

「…」

ヘッドホン先輩は黙り込み、居候先輩は爆笑。

「ごめんなさ~い」

「ノーコメントで」

私は、幸せ者だ。

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