第三条

価格が低廉であるから。仮にこの書籍が3000円で刊行されたとしよう。3000円。低廉? 悩ましい金額ではある。何に使おう? 現今の標準的相場では課金ガチャ10連が一回につき3000円である。仮にあなたにおいて欲しいキャラクターがいるとしよう。その気持ちは痛いほどに分かる。著者自身が重度のソーシャル・ゲーム依存だから。どうかクリックするかタップするか、懊悩に震える手をしばし休め、一度深呼吸してもらいたい。ディープ・ブレス。落ち着いてほしい。そしてシンプルにリ・シンクしてほしい。「本当に必要か ?」と。人生の再検討は意外にインスタントだ。こう念じてほしい。信じてほしい。錯覚してほしい。このキャラクターに使う10連ガチャの一回分くらいならに使ってやってもいいか、と。人生においてウソをウソで上書きすることは意味のある行為である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る