Peacemakers Trigger
津舞庵カプチーノ
episode0【平和な時代】
プロローグ前『平和で和平な世界』
“平和な世界”とは、一体何なのだろうか──。
戦争や争いが起こらず、民草が幸せな日々の生活を享受している世界と、そう万人は嘯く。
嗚呼、それは“平和な世界”の一つであり、その解答はきっと間違ってはいない。たとえ、どれほどの反発の声が聞こえようとも、誰かが“平和な世界”と定義している以上、それはきっと“平和な世界”と云うのだろう。
ならばこそ、戦争や争いを起こさないために、誰かを許さなければならない。
──幸せな日常を壊されても、笑ってそれを許しましょう。
──親友や恋人、家族等を惨殺されたとしても、無償の愛にて許しましょう。
──自分自身が殺されそうになっても、相手を傷つけてはいけません。反撃してしまえば、相手が傷ついてしまうから。
そう、誰かと誰かが争うからこそ戦争は起きる。
逆に言ってしまえば、反撃しなければ戦争や争い事ではない。
何故ならば、戦争や争いが起きていないのだから。起きていないからこそ、人々はそれを平和と謳う。
たとえ、他国に蹂躙され支配されたとしても、それは戦争や争いの類ではないのだ。
結局、こうして耐え忍んだ方が後々良い事が訪れるものだと、誰もがそう信じている。
人々の営み溢れる希望の大地を、死体によって彩られた死山血河の濡れた大地に変えて、友人親族が奴隷のように扱われる和平を結んで──嗚呼戦争が起きなくて良かったと笑うのだ。
──間違いだ。
だが、そんな蹂躙を許せば当然の事復讐が生まれる。
復讐は理屈ではない。
たとえ、どれほどの綺麗事を並べても、どれほどの正論を叩きつけられても、復讐の炎は燃え上がるものだ。
──そしてその復讐の炎は、万里をも焼き尽くすのだろう。
だがそんなもの、誰も望んじゃいない。復讐は何も生まないと、彼等は言う。
復讐とは、新たな争いでもあり、戦争でもある。
もしも、虐げられた者が復讐を果たした先にあるのは、当然暗黒の時代。
混乱が混乱を生み、社会は酷く歪み壊れ、無関係な罪なき人々がきっと大勢死んでしまうのだろう。
そんな惨事、誰が見たって過ちだ。
誰だって、悲劇の類を見たくない。無関係な他人のものであったとしても、到底歓迎できる筈もなかった。
復讐は所詮個人的なもの。
無辜の人々の平穏を踏みにじって、平和な世界を焼き払って、怨敵を打ち倒す。──それが一体何になるの? 何で誇りと思えるの?
死山血河の上で嗤えるほど、誰も彼もが壊れた人ではない。
他人の不幸は密の味と言うけれど、限度が過ぎればこの通り。不幸なんて見たくないし、それを体験するだなんて以ての外だ。
だからこそ、復讐は何も生まない──その言葉に一定の理解は示そう。
復讐を遂行すれば、また新たな復讐が生まれれるのは自明の理。陽だまりは帰ってこず、自分等が新たな標的となるだけ。
故に、血塗られた連鎖を断ち切るために、尽きぬ怒りと憎しみを我慢すべきという結論だ。
しかし、なればこそ、こう問わねばならない。
失い奪われた者は、涙を飲んで泣き寝入りをするべきなのだろうか。
知らない赤の他人の安寧のために、社会の秩序をこれからも維持していくべきなのだろうか。
嗚呼、思い出す、痛いほどに思い出す。
故郷を、日常を、家族を、あの平穏を──笑顔で溢れていた平穏な日々を。
その上で、大切なものを奪われる不条理を、寛大な心を以って許さなければならないのか。
誰かに迷惑を掛けない事こそ、素晴らしいものだと。
素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい──。
ふざけるな! 冗談じゃない!
そんな称賛の言葉はお呼びじゃないんだ!
誰もが称賛の言葉を並べる中、理不尽不条理に抗う憤怒の声を挙げよう。
だがしかし、そんな蛮行を行えば、平和を望む彼彼女等は否定しようとする。間違いだと、その剣を振りかぶる。
故にこそ、それらを否定しようとするのなら──。
「──私は魔王でいい」
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お疲れ様です。
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