第44話 眠れぬ夜

好きな男と久しぶりにあって、

隣で寝ている。


『明日早いから』


チュってして、

眠ってしまった。


寝られるわけないじゃん。


男はずるい生き物だ。


こんな時、嫌がる女を黙らせて、

自分の欲求を満たすことができる生き物。


女には、主導権はない。


いや、あたしなら、嫌がる男を黙らせて、

欲求を満たすって?


そんなの無理だよ。


あたしの口の中で、

みるみる充満して、

固くなってくれるはずのものが、

生牡蠣みたいになっちゃって、

舌と上顎の間でニュルニュルする瞬間が、

あたしは心底、怖いから。


ああ眠れない、眠れない。

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