第9話 殺したい彼
離れるまで、
ずっと彼を殺したいと思っていた。
嫌で嫌でたまらなくて、
死んでくれたらどんなに良いだろうって。
でも、離れたら、
なんだか元気が出ないんだ
彼を憎むということが出来なくなって、
あたしは自分と向き合わなくてはならなくなった。
だからね、
夫を憎むことが出来てるうちは
幸せなんだよ、
憎む相手がいなくなったら、
自分の不甲斐なさとか、
弱さとか、
案外なにも出来ないところとか、
そういうの、
見なきゃいけないんだもの
それはそれで大変だよ
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