満足

人間の肉というものはどんな味がするのだろう。


他人を傷つけるわけにはいかないから自分を食べてみたい。


どこを切れば比較的マシに生活が出来るだろうか。

仕事柄、手は大事にしなきゃ。

足は?足はどうだろう。

外に出ることないし片足の下の方なら頑張れば普通に生活できるのでは?


よし、切ろう。


上手いこと切れない。

痛覚が死んでいるのかアドレナリンなのかはわからないが痛くない。


数時間経ってようやく切れた。

包帯をキツく巻く。止血できているのかわからない。死んだら死んだでまあ良いか。



ホットプレートの前に座る。

ジューという音を立てる私の一部だった肉。


これくらいで良いのかな。


手を合わせる。

いただきます。


咀嚼。

よくわからない。ただの肉。そういえば味覚音痴だったことを思い出す。

まあ、普通に美味しい。


嚥下。

一回食べたらもう良いかなという感じ。

自分で試してみて良かった。


もう良いと思うが残すのはもったいない。

色々な味を試してみようか。


咀嚼。嚥下。咀嚼。嚥下。咀嚼…。



手を合わせる。

ごちそうさまでした。

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