新作掌編「頭の上から上へ」



「このまえ頭の上から足のつま先までねっっとり、見てくる人がいてさ……ゾッとしたのよね……。あたしが美人だから仕方ないけどさ。

 そのあと家まで尾行されてないか、すっごく怖かったのよね……。あなたも、あたしと初めて出会った時、あたしは気づかなかったけど同じことしてたんじゃないのお?」



「男だし、見てないわけじゃないけど……そこまではね。

 俺は頭の上から空の向こう側まで見てただけだよ」



「あたしを見ろよ」



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