第2話
魔族を自称する異形の者たちが、この世界に突然出現。それは、ちょうど今から三年前の出来事だった。
二足歩行という意味では動物よりも人間に近いけれど、ゴブリンやオーガみたいなヒト型モンスターとは明らかに違う。それまで見たことがない姿形ばかりであり、その身に纏う空気も禍々しい。おとぎ話や神話に出てくる悪魔や魔物を彷彿とさせるほどだった。
しかも彼らは、人間の言語を理解。それを口に出来るような発声器官も
野獣やモンスターを超える強靭な肉体に、最高位の魔導士でも扱えないような強力な魔法。そうした優位を持つ魔族に襲われたら、人間はひとたまりもなかった。
各国から派遣された軍隊も魔族には
神の啓示を受けたという教会主導で開発された、新しい武器や魔具の数々。それらを駆使する者たちが、それぞれの地域の民衆を率いて、反撃に立ち上がった。
そこに各国軍の残存部隊も加わり、逆襲の勢いは増す。パワーバランスも逆転したのか、やがて魔族は劣勢となり、次々と駆除されていった。
そんな中、ひとつの噂が流れ始めた。
魔族によって最初に占領された国、パルガルド王国。魔族全体を率いる親玉は、そのパルガルドの王城を
いくら下っ
勇者アノードも、そんな噂を信じた一人だ。
彼は元々、農村で暮らす平凡な村人に過ぎなかったが、魔族に対して特別な斬れ味を示すという武器『
そんな戦いの日々に終止符を打つために、仲間と共に今夜、このパルガルドの城に乗り込んで……。
仲間たちより一足早く、魔王を発見。彼らの助けを待つまでもなく、一対一で魔王討伐に臨もうとしているのだった。
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