第5話 範馬

まえがき


今回は、色々と書いたので——不愉快に思う方がいた時の為に、先に謝っておきます。


ごめんなさい。m(_ _)m

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 それから、何やかんやあって……


 エリアルとフロックはパーティーを組む事になった。


 そして、ただいま——湖の辺りで2人は、話し合っていた。


「ねぇ〜……フロック、一つ言っていい?」


「何だ?」


「何だ? じゃなくて!!!

何で! アンタは、いつもクエストそっちのけで人助けをしているのよ——!

クエスト1に対して、助ける人の数が全く合ってないのよ!」


「仕方ないだろ。困ってる人がいたら助けるのは、当たり前だ!」


「でも、ほら報酬も感謝もないし……」


「何だ!? お前、お金に困っているのか?

なら、貸してやるぞ!」


「違う! 困っては、いないけど……

労働の対価として、割りに合ってないのよね」


「なら、クエスト終わったら帰れば良いじゃねーか……訳の分からん文句ばっかり言って!」


「訳わかんなくは、無いわよ。

それに、私が居ないと——アンタ勘違いされて、また酷い目に遭わされるわよ!」


「別に、慣れてるから——俺の事は、気にするな!」


「仲間を心配するのは、悪い事じゃないでしょ! アンタが、変な事に巻き込まれないか心配なのよ」


 すると、そこに1人の少年が現れた。


「トーぉ〜!!!

俺様の名は、キバ!!! 

半人範馬の——この国、最強の男だ!」


「半人半魔ね。

ほら、こう言うのが現れるでしょ……

もう、それが嫌なのよ!!!」


「お前らが、最近話題になってる。

この国で、1番の強いと噂のカエルとエルフのパーティーだな。勝負しろ!!!」


 フロックは、切株と切株に股裂状態で足を乗せてキバの話を聞いていた。


「ゲコゲコゲコッ……お前みたいな小童が、挑むなど100年早い——この背中を見ろ!!!」


 フロックは、切株から飛び上がると空中で回転をした後。スマートに地面に着地をすると、背中を向け——背筋に力を入れた!


 すると、背中に鬼の顔のイボを作り出した。


「そ……それは……間違えようがない。

親父……オヤジィィィーーー!!!」


 そして、2人は拳と拳で語り合った……


「もう、そう言うのイイから……やめて!

アンタは、魔族かも知れないけど——カエルでは、ないでしょう!

フロックも話をややこしくしないで——お願いだから……」


 と、エリアルの悲痛な叫びを得て……


 一度、落ち着きを取り戻した2人は


「準備運動は、これくらいで——次は、本気で行かせてもらう……」


 そう言うと、キバは剣を構えた。


「剣術で、俺に挑むとは——いい度胸だ!

少し遊んでやるケロ……全力でかかって来い!」


「何だ!? カエル、お前も剣に自信があるのか? 

だが、残念……俺は、この国の兵士長と戦って引き分けた程の実力の持ち主だ!

この勝負、俺の圧勝で終わらせてもらう」


 そんなキバに対して、フロックは——手を前に出すと


 クイッ…クイッ……と、手招きをしてキバを挑発した。


「フロック……そんなに彼を挑発して大丈夫なの? 彼の実力は、本物よ……」


「問題ない。」


 すると、挑発を受けたキバは……


「自分の実力を証明する為にも、お前には死んでもらう。

どの道、魔物だ! 殺しても誰も文句を言う奴はいないだろう……」


「やれるもんなら、やってみるケロ!」


「行くぞーーー!!!」

「ケローーー!!!」


 そして、2人による剣の戦いが始まった。


 先手は、完全にキバがフロックを押していた。

 いつのまにか、彼の猛攻をフロックが受けるだけの形となっていた。


 キバの言う通り! 兵士長と互角と言う実力は、伊達ではなかった。


 そして、キバの猛攻を受けているフロックは、全く反撃が出来ない……


「オラッオラッオラッオラッ! 無駄無駄無駄無ダァー!!! どうした? カエル——威勢が良いのは、最初だけかぁ——あぁ!!!」


「…………なかなか良いものは、持っているが

脇が甘いのと、少し大振りになる時があるな……そこを少し、改善した方がいいぞ」


「はぁ!? 弱小モンスターのカエルの分際で、俺様の剣技に指図するんじゃねーよ。

受けるので、やっとのくせーに!!!」


 確かに、キバの言う通り。フロックは、数十分の間——キバの猛攻を受けて、避けて、受け流していた。


「そろそろ、俺も反撃をするケロよ」


「はッ! やれるもんならやってみろ!!!」


 すると、フロックはキバの剣をさばきながら距離を詰めると背後へと回った。


「何処だ!?」


「肩に力が入り過ぎている。

もっと、力を抜くケロ……」


「後ろか!!!」


 キバは、振り向きながら剣を振り回す——

それをフロックは、簡単に避けると……


「後は、ステップだ! 足運びが悪すぎる。

とくに対人戦では、もっと軽やかに

軸足を中心に、回転する様にステップを踏むんだ」


「うるせ〜! 黙れ!!!

お前みたいな魔物に、教わる事なんて何も無い!」


「お前が、弱いから教えてやってるケロよ……」


「バカにするな! 俺の本気は、こんなもんじゃねぇー! 本当の俺の力を見せてやる。

俺の剣技と魔剣グランドスラムが合わさった力を……」


 すると、キバは——一本の剣を取り出すと、鞘から抜き出した。


 その魔剣は、空間がヒリつく程の魔力を帯びていて——今にも爆破しそうな力を秘めていた。


「聞いた事があるは、魔剣グランドスラム!

炎、水、雷、風、4つの属性を付与された。

その魔剣は、抜いただけで天災を引き起こすと言われている程、強力な魔剣……

あんた、そんな物持ち出して! バカなの!?」


「どの道——このカエルは、殺すつもりで来た!

俺の最大最高火力で、あの世に送ってやる!」


 キバの本気が伝わると、エリアルはフロックを連れて逃げようとした。


「フロック——逃げるわよ!」


「何で?」


「何でって、相手が悪すぎる!

あんたが強いのは、知っているけど……

魔剣グランドスラムなんて、使われたらタダじゃ済まないわよ!」


「いや、大丈夫だろ……」


「ハハハハハハッ……この剣を見て——逃げないとは、いい度胸だ!

まだ、勝てる勝算でもあるのかな? 

ハハハハハハッ……ある訳無いがな!!!」


「そうよ。あいつの言ってる事の方が正しい!

ここは、一旦逃げるわよ!!!」


「何で……!?

あいつの持ってる魔剣グランドスラムは、レプリカだろ!」


「あれだけの魔力を秘めているのに、レプリカのはずがないでしょ!!! バカなの?!?」


「おい! カエル、お前……面白い冗談を言うじゃねーか。

もし、この魔剣グランドスラムがレプリカと言うなら——その根拠は何処にある?」


「だって……俺、魔剣グランドスラム持ってるもん」


 一瞬、その場は静まり返ったが……


「はぁ……!? アハハハハハッ……

お前マジで、おもしれーな。

なら、見してみろよ!!! 本物の魔剣グランドスラムとやらを——」


「別に、良いけど……」


「あんた、本当に訳の分からない事を言ってないで、キバが油断している今のうちに、逃げるわよ!」


 すると、フロックは空間魔法に手を突っ込むと……


 その空間から剣の鞘が見えた途端に、空間魔法の中から……稲妻と熱風が吹き荒れた!


 そして、天空には——真っ黒な雷雲が現れると……辺り一面が、大嵐となった。


「ちょっと……何なのよ!!! その剣は!?

あんた……本当に、持ってるの?

魔剣グランドスラムを……」


 その剣は、空間から半分しか抜かれてはいないが……誰の目に見ても分かるくらい。

物凄い! 魔力と伝承通りの力を放っていた。


 すると、キバが……


「カエル……やっぱり……剣での決着は、無しにしよう。

俺は、ここ数年——魔法の修行をしていた!

だから、俺も魔族の端くれだ! 魔法で決着をつけたい!!!」


 キバの苦し紛れの言い訳に、フロックは……


「そう言う事なら、別に魔法でも良いけど……」


 そう言いながら、フロックが空間に剣をしまうと——さっきの嵐が嘘の様に収まった。


「あんた! 魔法勝負なんで引き受けちゃって本当に、大丈夫なの?

あんたが使う魔法って、粘液と股間から発射する水鉄砲しか見た事無いわよ」


「何言ってんだ! 俺は、基本的には——色んな魔法を使えるぞ!

ただ使うタイミングが無かっただけだ——舐めんな!」


「あっそッ! なら、勝手にして——せっかく心配してあげてるのに」


「なら、今後! お前が心配しなくていいように——とっておきの魔法を見せてやるよ!」


 エリアルとフロックが話している間に、タップリと魔力を溜めたキバは


「死ぬ覚悟は出来たか!!!」

俺様の最大最高火力の火炎魔法で、あの世に送ってやる——!!! 死ねー!!! カエル野郎!!!」


 そして、キバから放たれた豪炎はフロックを包むと炎の渦を巻きおこした!!!


「フローーークッ……本当に、大丈夫なのよねーーー!?」


「ハハハハハハッ! バカな女だ!!! 

これだけの豪炎の中、無事なはずが無いだろ!!!」


 それから、事なくして——豪炎がおさまると……


 その中心には、フロックが無傷で立っていた。


「悪いなキバ……俺に、炎の攻撃は効かない。

今度は、俺の番だ!!!」


 すると、フロックは空間魔法から見習い魔法使いが最初に使う。

 ワンド! 杖を取り出した……


「……ビックリした〜! また、訳の分からない物が飛び出して来るのかと思った」


「あんた、そんな遊びて使うような杖なんか持って、何をする気?」


「エリアルが、もう心配しない様に

俺の水魔法の最大奥義を水星級魔法を見せてやる!!!」


「水鉄砲以上の威力が、ある事を願っているゎ……」


えーと、たしか詠唱は……。


「雄大なる水の精霊にして、天に上がりし雷帝の王子よ!

 我が願いを叶え、凶暴なる恵みをもたらし、矮小なる存在に力を見せつけよ!

 神なる金槌を金床に打ち付けて畏怖を示し、大地を水で埋め尽くせ!」


 フロックが、詠唱を始めると——真っ黒な雨雲が発生した。


 そして、……ポツ……ポツ……と雨が降り出すと

 フロックは、雨の中を踊る様に杖を振る。


「ああ、雨よ! 全てを押し流し、あらゆるものを駆逐せよ!

 キュムロニンバス!」


バガァンーー!!!


 落雷がキバを襲った……


 すると、物凄い形相のエリアルがフロックを殴り飛ばした!!!


「あんた——!!! 何やってんのよ!!!」


「えっ……!? 大丈夫だよ。

キバには、当ててないから……だから衝撃で湖に吹っ飛んだでしょ!」


「そんな事を怒ってるんじゃ無いわよ!!!

とりあえず! 詳しい事は、説明しないから——今の魔法は、もう2度と使っちゃダメ!

分かった!!!」


「分かりました……」


 そうして、フロックに説教が終わると……


 怒り疲れをしたエリアルと怒られ疲れをしたフロックが、体操座りをしながら話していた。


「アイツ……助けた方が良いよね」


「そうね。雷で意識を失ってると思うし……助けた方が良いと思うゎ」


 2人は、助けるのが……ちょっと、めんどくさくなっていた。


「なら、アイツらに頼もうかな……」


「アイツらって、誰よ?」


「俺の眷属達……召喚すればすぐに来ると思う」


「あなた眷属いたの!? てか、召喚魔法まで使えたの?」


「見せてやるてばよ! 俺が、色んな事を出来るって事を!!!」


「もう、パクリはやめてね……」


「分かってる! これは、俺のオリジナルだ!!!」


 すると、フロックは湖の中に少し入ると……

水に、お尻をつけた。


「あんた……何する気……」


「眷属召喚!!!」


ブリブリブリブリッーーー!!!


「ちょっとーーー!!! あんた! 何やってんのよ!!! モザイク! モザイクを早くかけてーーー!!!」


 フロックの眷属召喚を見て、エリアルは酷く取り乱していた!


 それもそのはず! フロックが使った眷属召喚とは、フロックのお尻から大量のオタマジャクシを放出するフロックだけのオリジナルの技であった。

 それを見たエリアルは、騒ぎながら嘔吐した!


「本当に、アンタは——気持ちの悪い魔法を使わないで!!!」


「何だよ! お前だって、召喚魔法——気になってたじゃねーか」


「もう、いいから……早くキバを助けなさいよ!」


「言われなくても、そうするよ!

お前達、あそこで浮かんでる奴を連れて来てくれ!」


 そして、オタマジャクシはいっせいにキバの方へ向かうと、すぐにフロックの元へと連れて来た。


 それを2人は、湖から引き上げると……


「魔法は、直撃してないのに——手足はボロボロね……。

それだけで、あの魔法の威力が凄かったのが伝わって来るゎ……」


「あ……!? これ魔法のケガじゃないぞ」


「なら、何で!? こんなに血が出てるのよ!?」


「これは、あれだ! 俺の眷属達が、少し味見をしたんだ」


「少し味見? それって、食べたって事!?」


「少しだけな。アイツら、雑食だから……」


「少しでも何でも、助けに行った人を食べちゃダメでしょ!

ちゃんと、躾けておきなさいよ!!!」


「でも、ほら! 回復魔法をかければ……ハイ! 元通り——!」


「元通りになれば良いって、問題じゃないの!」


 すると、回復したキバが目を覚ました。


「俺は、魔法でも——こんなカエルに負けたのか……くそーーーッ!!!」


「ねぇ……少し話をしましょう。

何で、あなたは私達を狙っているの?」


「俺は、魔王を殺したいんだ!」


「魔王を殺すって……あなた、半分魔族よね?」


「ああ……だからこそ……」


 そこから、キバの昔話が始まった。

_________________________________________

あとがき


この作品を読んで頂いた方からの


『続きを楽しみにしている。』


その言葉に、突き動かされて書き進めております。_φ(・_・


応援は、本当に力になりますᕦ(ò_óˇ)ᕤ



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