友人たちは今

 ここは本大陸のとある場所。夜火の友人たちは今、彼が追いつくのを期待しながら今日もPvP大会の会場へと向かっていた。


「夜火くん、今何してるんだろうね」


「鍛治師からの依頼をやってるんじゃなかったかしら?」


「そう言ってたね」


 プレイヤーネーム「yomiヨミ」と「MAYメイ」、本名は神奈月かんなづき美夜みよ糸導しどうめい。レベル上げをしている最中の2人は夜火の友人である。


「彼のことだから、どうせ寄り道して合流が遅れるんでしょうね」


「そんなことないよメイ。彼、約束はしっかり守るタイプだよ」


「だとしてもきっと遅れるわ。はぁ、夜火くんはただでさえスタートダッシュに遅れた上で寄り道するし……。それにシューガくんは1人でどこかに行ってしまうし……。全くいつになったら4人で遊べるのかしら」


「夜火くんも頑張って追いつこうとしてるよ、きっと。私たちは先に進んで待っていよう?」


 会話しながら淡々とモンスターを倒していく2人。


「それに夜火くんならすぐに追いつくと思うよ」


「そうかしら?きっと、ユニークモンスターにでも遭遇してまた遅れるわよ」


「もしかしたら本当にそうなってるかもしれないから怖いね……」


「大会までには合流できるといいのだけど」


「そうだね。さ、私たちもレベル上げの続きしよ?」


「ええ。彼と戦う時のために力をつけておかなきゃ」


「もう……。そんなに戦いたいの?」


「当たり前でしょう?勝ち越されたままでいいわけないじゃない」


「別のゲームの話をいつまでも引きずるのはやめなよ……。みんなで楽しくやるって約束なのに」


「どうせ彼も戦いたがってるわよ。それに何が楽しいかなんて人それぞれなんだから」


「はぁ、何を言っても無駄か〜。もういいや、ほら次いくよ」


 彼女たちは知らない。本当に夜火がユニークモンスターと戦闘していることを。



◇◆◇◆◇



「さて。2人には悪いけど、ちょっと1人で行動させてもらおう」


 プレイヤーネーム「シューガ」、本名は郡道秀我。


「夜火との合流はまだまだ先になりそうだね」


 一緒にプレイしようと誘った友人の第一声が聞いたこともない言葉だった時は驚いた。その後、それが異端者という出身・出自によるものだと知った時は思わず笑ってしまった。まさかプレイ開始からつまづくとは思っていなかったからだ。


「みんなで遊ぶのも久しぶりだっていうのに。早く追いついてほしいよ、親友」


 ユニーククエストに関連する内容であるため、2人には内緒で抜け出したシューガは今日もこの世界のどこかにいる親友を待つ。







 高校時代。とあるきっかけで知り合い、一緒にゲームをする仲にまでなった4人。受験を終えたらまたみんなで遊ぼうという約束が果たされるのはまだ先の話。

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