第18話 ラーメン戦争 ⑥
香織と涼介は夜の帳が降りるのを待ち、ラーメン国士無双に再び向かった。今回は慎重に行動するため、二人は暗闇に紛れるような黒い服装に身を包んだ。
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「まるでスパイ映画の一場面ね」と香織が小声で言った。
「ええ、でも今回は本当に証拠を掴む必要があるからね。慎重に行こう」と涼介は真剣な表情で答えた。
店の裏口にたどり着いた二人は、ロックピックを使って静かに鍵を開けた。涼介が扉をゆっくりと開けると、店内は静まり返っており、誰もいないことを確認した。
「よし、今がチャンスだ」と涼介が囁いた。
二人は厨房に向かい、昼間見つけた怪しい瓶の棚に直行した。涼介は一つの瓶を手に取り、注意深くラベルを確認した。
「この瓶、昼間に見たのと同じだわ」と香織が言った。
「そうだね。ここに何かが隠されているはずだ」と涼介は瓶の蓋を開け、内容物を取り出した。
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その時、背後から物音が聞こえた。二人は息を飲んで振り返ると、堀井達也が冷たい目で彼らを見つめていた。
「君たち、何をしているんだ!」と堀井が声を荒げた。
「これは…説明が必要ね」と香織が冷静に言った。「実は、あなたの店の調味料に興味があって調べているんです。」
「ふん、興味だけではないだろう」と堀井は鋭い目で二人を睨んだ。「君たちが何を探しているのか知っている。だが、それは君たちの知るべきことではない。」
涼介は一歩前に出て、「あなたが何かを隠していることは分かっています。私たちは真実を追求する探偵です。その真実を知る権利があります。」
堀井はしばらく沈黙した後、冷たい笑みを浮かべた。「いいだろう。だが、君たちがその真実にたどり着けるかは分からない。」
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その瞬間、店の外から警察のサイレンが聞こえてきた。香織と涼介は驚き、堀井も一瞬動揺した。
「誰が警察を呼んだんだ?」堀井は不安げに呟いた。
「分からないけど、これはチャンスかもしれない」と香織が小声で涼介に言った。「今のうちに逃げよう。」
二人は素早く厨房を抜け出し、裏口から店を離れた。警察が到着する前に安全な場所に隠れ、事態を見守ることにした。
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警察が店内に突入し、堀井を取り押さえた。彼は抵抗することなく、静かに連行されていった。
「どうやら、堀井の行動が誰かに通報されたようね」と香織が言った。
「そうだね。でも、私たちの目的はまだ達成されていない。あの瓶の中身を分析する必要がある」と涼介は決意を新たにした。
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翌日、二人は事務所に戻り、瓶の中身を詳細に分析することにした。再びラボに戻り、成分を解析し始めた。
「この成分、やはりおかしいわ。普通の胡椒には含まれていないものばかりね」と香織が指摘した。
「そうだね。しかも、これらの成分はアレルゲンとして作用する可能性が高い」と涼介が答えた。
「つまり、堀井は意図的にこの成分を混入させたということか」と香織はつぶやいた。
「その可能性が高い。次は、堀井がこの成分をどこで手に入れたのかを調べる必要があるね」と涼介は決意を固めた。
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こうして、香織と涼介は新たな手がかりを元に調査を続けることを決意した。次なる章では、堀井の背後にいる人物や組織の存在が明らかになる。果たして、その先にはどんな真実が待ち受けているのだろうか。
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