勇者パーティーの賢者、女奴隷を買って無人島でスローライフする

黒須

第一章

第1話 奴隷を買いにきた


 グラントランド王国、王都グラトニック。

 人口が密集する広大な街の中心にある王城、その謁見の間にて、国の貴族、重鎮、将校など多数が見守る中、現在12歳の俺は魔力封じの枷で全身を拘束され身動きができない状態で王座に座る国王から宣告を受けた。


「大賢者ゴロウ・ヤマダ、貴様は魔王城攻略作戦において魔王討伐という偉業を成し遂げた。だがしかし、奴隷紋解除は前代未聞の悪行、神代への冒涜である。大罪を犯したお前をセブンランド大陸へ島流しとし以後、セブンランドより出ることを禁ずる」


 俺を殺さないのか?

 まぁ俺が抵抗して暴れられた困るもんな。こんな枷、一瞬で壊せるし。


 ただ……、殺して欲しかった。

 自殺なんて絶対に嫌だから。

 国王おまえのようなクソ野郎でも俺を殺してくれるなら少しは感謝したのに……。

 いや、感謝はしないか、こんなヤツに。



◆5年後――


 俺、山田悟朗は5年ぶりにグラントランド王国王都グラトニックに来た。

 島から出るなと言われていたが構うものか。俺は好きで自発的に無人大陸、セブンランド大陸に島流しされたわけで、国王の命に従ったわけではないし国王が決めた刑を飲んだわけでもない。


 王都グラトニックは中世ヨーロッパのような町並み、人々の服装。東京のように人口が密集していてどこまでも町が広がっている。


 無人島に住んでいる俺が、何故わざわざ王都に来たのかというと、女奴隷を買う為だ。


 現在17歳の俺は女性と付き合った経験がない。

 更に俺は転生者でこの剣と魔法の世界に転生する前は日本に住んでいた。若くして病死したわけだが、前世でも女性経験はなかった。


 でだ、現在自宅は無人大陸……、出会いがない。そりゃ無人だからね。


 じゃあ、町に出てナンパ?いやいや異世界に来てナンパするのもちょっとアレだし、前世でも研究好きの理系男子だったからナンパなんてしたことない。


 そんなわけで、このままだと前世でも今世でも生涯女性経験無し!なんてことになってしまうので性奴隷を買うことにしたわけだ。


 取り敢えず数人奴隷を買ってハーレムを作り、最終的に性格の合う子を嫁にする計画である。


 因みに、理由は割愛するが、この体は非常に性欲が強い。超絶倫だ。だから、それでも大丈夫な子を見つける必要がある。


 この国には奴隷制度があり、王都グラトニックにはこの国で一番大きな大奴隷商会がある。


 マデンラ奴隷商会。

 王都の郊外に広大な敷地を持ち奴隷用の倉庫やテント、住居が立ち並ぶこの商会には世界中から様々な奴隷が集まる。


 初めて奴隷商会に来た俺は若干緊張しながらも店の外の大通りからマデンラ奴隷商会を見つめる。


 商会は城壁の様な外壁に囲まれている。奴隷が逃げないようにするための壁だろう。まるで刑務所だ。


 さて、どんな子がいるのか……。ここで買った子と長い付き合いなるわけだし、セックスだってする。

 そう思うと気楽には選べない。生涯付き合うつもりで買わないとね。


 奴隷の女の子には笑顔で挨拶しよう。初対面で悪い印象を与えないようにして……。てか女の子と殆ど話したことないし。相手を喜ばせる面白トークなんてできないよ。


 キモいとか言われてゴミを見るような目で睨まれたら嫌だな。やっぱり買うの止めとくか……。

 別に無人島で一人だって今まで困らなかったし!寂しくなんかないんだから!


 まぁでもせっかくここまで来たし、見るだけ見てみるか……。

 はぁー、緊張する緊張する緊張する……。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る