ゴーストエイジ
夜凪 大虚鳥
ゴーストエイジ
あなたは眼を閉じた。薄い浮遊感を感じる。あなたは刹那の夢を見る。あなたが再びその眼を開き、現実が色を取り戻すまで。夢は褪めない。
あなたの目の前には白い空間が広がっている。見渡す限りなにもない。足元にふんわりとした感覚。いつのまにか地面に緑が茂っている。足を前に出すと、世界はあなたに合わせて広がり、緑はあなたを導くように道を作るだろう。あなたはその緑を踏みしめて道を進む。鼻腔をくすぐる土と草の匂いは、あなたが久しく感じていなかったものだ。
道の終わり、少し開けた空間が目に入るだろう。六畳ほどの空間の真ん中には白い墓石がある。そしてその横でその墓石に向かって語りかけている十五歳ほどの少女の姿をあなたは見つけた。ぼんやりとした声が鼓膜を揺する。なんと言っているのか上手く聞き取れなかった。あなたは前に進む。世界はあなたに合わせて進む。
あなたの足は止まる。何故か足は固まったように動かない。あなたはなんとなく、そのままでいる方がいいと感じた。三秒ほどあなたがそこで停止していると、少女の声が何故かはっきりとした言葉として聞こえるようになってきた。それと同時に、胸の中が温かいような冷たいような、子供の頃友達と挨拶を交わして家に帰るときのような感覚に包まれ、目を閉じる。再び目を開けると、なんだか体が軽くなったような気がした。あなたは耳を澄ます。芯のある少女の声はなんだか寂しそうに聞こえた。
私は君の事が好きだったんだよ。第一印象は綺麗な人だなって思った。ありふれた学校の転校生として紹介された君は異質なほど綺麗、精神性とか気配とか。ほんとに好きだった。
君は友達と分け隔てなく接することが出来る優しい人で、古典文学の話をしたり哲学の話をしたり、とても聡明な人でもあった。良い事を自ら進んでするのは勿論、悪い事に対してはNOと言える気高さもあった。君は夢みたいに完璧ですばらしかった。
一目惚れだったんだ。私は君とどうしても君とお友達になりたかったんだ。だからね、だいぶ努力した。
私はね、人と友達になる時には一番最初に「怖くない」人になる事にしてたんだ。人は「わからない」事が怖いんだって本に書いてあったから、相手の人が怖がらないようにね、いつも頑張ってるんだけど。私は一目見たときからどうしてもどうしても、君とお友達になりたかったから、すごく気をつけた。
意外ですか? 知ってたでしょ? 何も言わないのね。そうだよね。ごめんね。
だからね、君に合わせて毎日過ごしてたよ。同じ人と長い間居るとその相手に同化する。それは当たり前の事。それだけだったら良かったんだよね。ただ私がやりすぎた。
君の話題にのぼった事はみんな調べた。君の好きな本、漫画、音楽はすべて触れて覚えたし、君が退屈しないようにお話ししてた。もちろん君が話す事も奪わないように調節してたよ。君のお友達と名前と性格はすべて把握して、君が私と話すときに一ミリもストレスを感じないようにしてた。
それが、君は嫌だったんだね。
でもさ、君もそれに甘んじていた節はあるだろう。はは。認めてくれよ。私はこの国に法律がなかったら君の事を三回殺してる気がするな。
脱線したね。話を戻すね。
つまり、君は怖かったんでしょ。やっぱりね、私は行き過ぎてしまったんだ。
私は君がより居心地が良いと感じる人になりたくて頑張っていたけど、それが君のお気に召さなかったんだよね。次第に私が君を超えるようになってしまった。
私は、君より器用だったから。君の出来ること、私はほとんど出来ちゃった。だから、君は怖かったんでしょ。私に君を簡単に越えられそうになったから、君は私に居場所を取られるんじゃないかとか、私が君の中で「友達」から「形の見えない化け物」に変わっちゃったのかとか、考えたよ。君は私と比較する事で、自分を酷く矮小な存在だと思うようになったのかなって、最近思ってさ。
そういえばさ、君は前に私の事を「ガラスみたいに透明」「おばけみたいに掴みどころがなくて、人らしくない」って言ってくれたよね。私は嬉しかったよ。思えば、あんな風に私を形容しようとした人は君が初めてだった。私は成ろうと思えば誰の色にでも染まれた、誰の色も受容できた。誰かに成るためには極限まで自分の色を消した。必要とあらば「色が無い」という部分を武器にできた。
そう、私は人間らしくなかった。でも、私が〝夢みたいな人だ〟と思っていた君はとことん人間だったんだよね。
秋、紅葉が全部落ち切った頃、君は私に「もう、一緒に帰るのやめよう。ちょっと距離を置きたい」と言った。
私はなんでもないような声色で「いいよ」と返した。本当になんでもなかったんだよ。だってさ、自分の時間が欲しくなったりする事って誰でもあるでしょ。君がそれでいいなら、私はそれでいいと思ったんだよ。君はちょっと傷ついたような顔をしていた気がしたけどね、そんな事私は問題ないと思ってた。
君は私から距離を置いたね。寂しいだとか思わなかったよ。私はそれで君が幸せならほんとに良かったんだ。
でもね、たまに耳に入ってきた君の噂で、「変わっちゃったんだな」と思った。「君が○○さんの悪口を言ってた」とか「スカートを折りすぎて先生に怒られた」とかね。でも、「変わっちゃったんだな」それだけ。君の期待していたような精神活動は、私の中では行われなかった。君の振る舞いがどんなに変わってしまっても、私が好きな君だと言うことには変わりないし、別に君がそれを選んで、そうして生きていこうとしているなら良いからね。それを応援するのが友達なんでしょ。それが君の理想の友達像だったでしょ。
ある日、そうだな……君が私から距離を置いて1ヶ月半ぐらい経った頃だね。君は突然「明日一緒に帰らない?」ってメッセージを私に送った。未だに私は、なぜあの日君は私を誘ったのか分からないんだ。メッセージを見た時も疑問に思ったのを覚えているよ。
あの日の私はだいぶ君を困らせたよね、ごめんね。あのときの私はどうかしてた。でもさ、あの時私に声をかけた君は私がこうなる事をわかっていたんじゃない?
感じの悪い生徒たちと、上手くいかない部活動。話を聞いてくれない先生と、手に負えないクラスの仕事。君は少なくとも私の地獄を、私の見えるところから傍観していたから、あの時の私がどんなに参っていたかぐらいは知っていたよね? それとも私が人らしくないから、何も感じていないとか思ってたのかな。
君は校門を出て早々に、
「私、学校やめようかなって思ってる」
と言った。周りに人は居なかった。私は詳しく聞かなかった。なんでだろうね。
「いいんじゃないかな。応援するよ」
「うん」
君は釈然としない顔で答えたね。私は、なんでだろうね。あの時、他人に初めて弱音を吐いたんだ。
「あのさ、私も一緒にやめていいかな? 最近ちょっと覚束なくて」
私はこう言った。思い返してみても何が〝覚束ない〟のかわからないけど、言葉がそれ以外に思いつかなかったんじゃないかな。多分〝ままならない〟じゃ足りなかったんだ。ごめんね。困らせたよね。びっくりさせちゃったのかな。じっと君は黙っていた。二人無言で道を歩いた。帰り道も中盤に差し掛かってきた頃、
「はぁ、私はただやめたいんじゃなくて、自分のためにやめるんだよ。あんたと違って」
君は少し怒ったように言ったよね。君の冷えた声で、私は自分の体の輪郭が消えたような気がしたんだ。頭にモヤがかかって、思考も空気に溶けるような気がした。これじゃあだめだ。と思って、元の自分に戻ろうと、取り繕おうと思ったんだけどね。だめだった。目の淵から、涙の粒が一粒垂れて。もう本当にだめなんだなと思った。涙は止まらなかった。止めようとしても止め方はわからない、こういう時ってどうすればいいか教科書も大人も誰も教えてくれなかった。
頭の中で「だめなんだな」って声に出したら、言葉が跳ね返ってきて頭がグラグラした。もう、一周回って夢なんじゃないかなって思った。隣りにいる大好きなはずの君がなんだか嘘みたいに恐ろしかった。君がこんなに恐ろしいのは現実じゃないからだって思った。だから君が口を開いた時、これは本当に起きてるんだって、夢じゃないんだって。それで、何を考えればいいのかわからなくなっちゃった。
「なんで泣いてるの」
「わからないよ」
「何でわからないの、ってゆうか泣いてんの初めて見た」
「私もはじめて」
「いつも他人事みたいに言うよね、感情がないんだ」
「そうなのかもね」
「心が壊れてるんだね」
「そう、だね」
「早く止めてよ。私が泣かせたみたいじゃん」
「ごめんね。頑張る」
「心が壊れてるなら、このままだと死んじゃうね」
「──うん」
私が反射でしていた返事に、被るように聞こえる君の声が耳に入って反響するたびに、自分の中身が冷たくなっていくような気がした。君はどんな顔をしていたのかな。上げられるような顔が無かったから、君がどんな動作で話していたのか覚えてないんだ。でもね、なんて言ってたのかは端から端まで覚えてる。
私が「うん」と返事をしてから君はどのくらい私の隣に居たんだろう。三分ぐらいだったかな、本当は一分もしていないのかな。体感時間が曖昧でわからないや。
「私帰るね。ばいばい」
君はため息をついて言うと。泣いてる私を置いて帰っていった。
今思えば君は私に随分酷いことを言ったよね。でも怒ってないよ。あのときも、悲しくなかったし、怒ってもなかった。世界が遠くにいったみたいで、自分の中にあるものに悲しいだとか、怒ってるだとかそういう名前をつけられるものは見当たらなかったよ。それに、君も辛かったんだろうなって思って。
地獄があったのは私だけじゃない。そうでしょ? 君の中にもきっと地獄はあったんだろう。私が君に言われた「距離を置きたい」をそのまま捉えて守っていたから、私が見えていなかっただけで。あったんだね。だからあんなことを私に話したのかな。何かしら嫌なことがあったから、「学校やめようかな」って言うんだ。
ねえ、あの時私は。君の思うとおり××××ってれば良かったかな。なんてね。
君との思い出はまだあるけど、きっとここが大きな転換期。このあとはみんな目を覆いたくなるような事ばかりだったね。
君は、私に「感情がない」と言った。でも、本当に私に感情が無いなら、あの時私が泣いていたのは何でだろう。私の胸がギュウッとなったのはなんだろうね。もし、感情が波動関数の収縮のようなものだとして、観測して名称をつけた時にそれが「感情」として形を取るのなら。あの時の私は、本当に「感情が無かった」事になる? そうしたら素敵? なんて。
色々考えてたんだ、君と会わなくなってから。ずっと。それで、最近思ったんだけどあの日に、「私の中の〝夢みたいな〟君」が死んじゃったように思うんだ。でもね、きっと「純粋で綺麗な君」はもっと前から死んでいて、私の知らない場所で「純粋さを捨てて大人になろうとしている君」に生まれ変わっていたんだ。ただ、あの日、「私の中の君」が「大人になろうとしている君」と私の中で交差した。君の形は全然変わっていた。びっくりした。怖かった。ごめんね。「大人になろうとしている君」も、君なんだ。でも、君の中で死んだ「純粋で綺麗な君」も君なんだ。私はどうしようもなく苦しい。
君がこの先ずっと、「大人になろうとしている君」、「大人になった君」で生きていく筈なんだ。大人になってから、どんなに頑張って「純粋で綺麗」に戻ろうと思っても無理なんだ。感覚も感性も、心の使いかたも大人と子供じゃ違うから。だから、君の中から子供の時の君はどんどん消えていく。大人になっていくんだ。昔から君のことを知っている人だって、「大人に近づく君」と繰り返し合っていく度に「子供だった時の君」の事を大人の君で上書き保存しちゃうんだ。
それってね、「純粋で綺麗だった君」は忘れられていくって事でしょう? そうしたら、私がたまらなく惹かれたあの時の君は、この世界に居なかった事になるんじゃないかって。なんかこう話していると、私が駄々をこねているような気がするね。でもそうだよ。私はまだまだ子供なんだ。君に居なくなってほしくなかった。あの時の君のことは、私が覚えていなくちゃいけないって思った。
それでね、とても抽象的な表現をするとね、私は君が死んだあの日から、君が捨て去った純粋な精神の屍を背負ってきたんだ。大事に大事にしていたけれど、その君の屍を改めて見返してみるとね、腐敗が始まっていたよ。私があの時、綺麗だと思っていた君の姿は。本当は、私が思っていたより酷いものだったのかもしれない。さっき、私はまだ子供だって言ったけど、やっぱりね、世界は人がずっと子供で居るのを許してくれないや。大好きなものも、客観視して怒ったり悲しんだりできるようになったよ。君は確かに私に対して酷いことをしていたんだってね。
腐った体はちょっと運ぶのが辛くなってきたよ。でもさ、それって私の中で君の思い出や感情を生きていたままに運ぶのが辛くなったということだと思う。
みんな、人が死んだら骨にする。私もそうしようかと思って。少しずつ腐敗してきた君の居る思い出を綺麗に取り除いて、本当に大切なところだけ自分で持っていようかと思う。
そうだよ。私は君にさよならを言いに来たんだ。
もしかしたら大人になった君は、過去の君が眠るここにやって来て、澄んだ眼で自分の死体をまっすぐ見るかもしれないし、黒歴史だって笑うかもしれない。君は私のことを忘れているかもしれないし、思い出すなり罵るかもしれない。それでもいいよ。何だっていい。今日は酷いことを沢山言ってしまったけど、君の幸せをずっと祈ってる。
ああ、君に面と向かって言えてたら良かった。感謝の言葉も、恨み言も。
そうだね、私は君のことを本当に好きだったわけではなかったのかもしれない。君の綺麗な部分と、自分の理想だけを愛していたのかもしれない。でもさ、君が存在してると嬉しいし、笑っていると心が暖かくなるよ。この気持ちって愛じゃないのかな?
君に出会ったことはこれっぽっちも後悔してない。酷いことをされたという事実は変わらない。でも、色々なものを得られたと思うし、君と一緒にいるのは心地よかった。そう、今でも君のことを思い出すよ。君の隣に居ないと、私は君が言うような「ガラスみたいに透明で幽霊みたいにつかめない」私になれない気がする。というか、なれない。あれから一度もなれていないよ。あの時の自分が一番好きだった。君の隣が一番好きだった。
今は、そうだな。私はあの時よりも幸せになった。君が居なくても幸せ。だけどね、君といた時みたいな〝君さえいればいい〟みたいな充足感は無い。あれはちょっと不健全な幸福だったかもしれないけど、本当に君じゃなきゃだめだったんだなって今でも思う。もう、君みたいな人は現れてくれないような気がする。でもね、君がくれた悲しみを砕いていくうちに、私は君が居なくても大丈夫になったよ。感情の分解ができるようになったんだ。
あ、そうだ。私ね、君のことを許さないことにしたよ。私は君に怒れなかったけど、私は君に傷つけられたのは事実。君のことも、あの時の自分も忘れないように、自分のために許さないでおくね。だからもう、君とまた会ったとして、君にあの時みたいに友達として接することはできない。それがいいと思うでしょ? 君と私はここできっぱりおしまい。本当にさよなら。
じゃあ最後に。本当にありがとう。あの時の私には、あなたの存在は世界で唯一の安らぎでした。今の私があるのも、君のおかげ。ばいばい。君が幸せでありますように。
少女の声は止まる。少女はゆっくりとこちらを向き、笑顔で何かを言った。その言葉をあなたの脳が処理する前に、あなたは心が暖かくなったのを感じた。少女の姿は空気に溶けて消える。あなたの脳は、少女が「聞いてくれてありがとう」と言ったと推測した。あなたは少女の話を最後まで聞いた。あなたは小説を読んだ後のような、頭の怠さを感じるだろう。あなたの目の前に残されたのは、緑の茂る地面と白い墓石だけだ。この世界はそれだけで十分だと、あなたも感じるだろう。
あの少女もあなたと同じようにここに来た、そして消えた。だからあなたもここに来て消える。ここはあなたのような人のためにある。心を切り出して、丁寧に磨いて、整理して、あなたが次へ行く準備をするための場所だ。身軽になるための夢だ。
ここは静かで居心地がいい。数多の人々が、ここに過去の自分を置いていった。自分を捨てるのは勇気がいる。しかし、心を決めればあっという間だ。あなたの手に大事なものだけ残して、後はみんな褪せていく。
あなたは少女の話を気だるい頭でぼんやりと思い出しながら、墓石に近づいた。触れてみるとほんのり温かいことが分かる。過去の遺物として置いていかれた彼らは死んだわけじゃない。生きている。だからあなたの事も黙って受け止めてくれるはずだ。
意識と記憶の集合体である彼らは本来形が無い。憐憫も共感も無しに誰かの隣に寄り添う音楽のようなものだ。誰の目にもその姿は見えないから、こうして墓石がある。いつからあるのかわからない。「言葉には受け取る対象が必要だけれど、人は見えないものを対象に話すのは苦手だ」とあの少女の前の……ずっと前にここへ来た老人が言っていた。誰かが必要としたから墓石はあるのかもしれない。
あなたの残しておきたいもの。もう必要なくなったもの。ゆっくりと考えるといい。夢はまだ褪めない。一日が終わったらまた次の日が来るように、次の夢がやってくる。そうしてまたあなたはここに戻ってくるんだ。
ああ、もしかしたら、あなたはもう前にここへ来たことがあるのかもしれない。夢は覚めたら覚えていないのがほとんどだ。だから、あなたはもう何人もあなたを捨てているかもしれない。ここに来る人は総じて自身からの離脱を繰り返しながら、過去を顧みているんだ。
私はそれをずっと見守っている。だから分かる。あなたはきっと過去の自分に会いに来たんだ。今、あなたに後悔はあるか? 悲しみはあるか? どうにもならない苦しみはあるか? 気が済むまでここに居ていい。私はずっと、果てしなく昔からここに居るんだ。
あなたの後ろで、冷たい語り部の真似事をしていたのは、本当に暇つぶし。この世界は温かくて幸福だけど、ずっとここにいる私は私に甘えている気がするから、道に迷ってる人をここに連れてきてみたりしてる。そうすると、なんだか自分が崇高な仕事をして居るような錯覚を感じて、少し気がラクになる。
私はいつも、あなたたちがちょっと羨ましいなと思っているんだ。私は気がついたら自分の名前も忘れてここに居た。なぜここに居るのかもわからない。しかし、あなた達は自分の足でここに来た。私のこれは多分いけないことなんだと思う。本当は自分でここに堕ちてくるべきなんだ。だって、〝無知は罪〟だし……
私はあまりにもここに長く居すぎたせいか、私は何が原因で後悔したり、悲しんだりしているのかわからなくなってきてるんだ。誰かに何か、酷いことをしちゃった気がする。それだけしかわからない。誰に言ってしまったのか覚えてない。でも、ここに私が居ることになにか意味があるような気がする。あなたと会った事にも意味があるんだと思う。
私の話はここでおしまい。あなたの話をしよう。あなたは、自分の足でここに来た。あなたはなぜここに来たのか、それはあなたの中に答えがある。そして、それを言語化するためには「対象」が必要だ。でも、それもみんなここにある。
だからさ、あなたの話を〝私達〟に教えてよ。
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